秋
あんなに久しく気づかれずにいた、秋が来た。穏や
かに湧き上がり、忌わしい見世物は白い溜息に変わっ
て、上方へ、取り囲む地平線へ漂い流れてゆくように
見える。光がまやかしじみて見えるのは、僕の時が止
まっていないから? デニム・ブルーに雲の輪郭はパ
レットより純粋に変貌し続ける、その美しさはなまめ
かしいほど、女神、海豚、魚、豚、駱駝、蛇、果物の
一切れ、ふかぶかとした谷あいを抜けて、希薄になっ
た部分から弱弱しく淡い光線をひろげて、ついに、擦
り切れた布のような隙間だらけの空から不機嫌な泡の
畝を蹴散らす太陽を覗かせる。次の山から、山へ、ま
た海を目指して、君は戻ってくる――数珠のように遠
くつないだもの、秀麗な絵看板、エッフェル鉄塔、そ
うして、いい加減な僕の気持ちのようにね、雪が降る
だろうし、見上げれば桜の花びらも怠惰に降りかかる
だろう。僕が振り返るのを待っている、秋が来た、東
洋の多彩、繊細な四季、少しわざとらしいね、でもこ
の季節の空がしたたるように青いのは、夕陽が美しす
ぎるせいだと思う。ねえ、君は見た? あのすさまじ
いほどに赤い夕陽、この溺れそうな青が嘘みたいな空。
原画サイズ/特大サイズ
詩とArt_Works:
塚元寛一さん &KAMOME_STUDIO
画像素材: イラa。写a