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カテゴリ:園芸植物
☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年9カ月、連載は連続2,400回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[13]】はキジカクシ科(クサスギカズラ科:Asparagaceae)の植物です。キジカクシ科は、従来の分類(新エングラー体系、クロンキスト体系等)ではユリ科に含められていました。第10回は、アツバキミガヨランの花です。(2015年10月13日撮影)。
☆アツバキミガヨランは、日本には明治時代に渡来した北アメリカ原産のキジカクシ科ユッカ属(イトラン属)の常緑性の多年草(低木)です。キミガヨランの仲間は、北アメリカ大陸の砂漠を中心に40種くらい分布しているそうです。樹高は、1~1.5メートルになります。(2015年10月13日撮影)。 ☆アツバキミガヨランの葉は、厚くて硬く細長く鋭利な刀のような形で、長さ30~80センチ、幅約3センチ、多数集合して放射状に広がっています。葉の先端には、鋭い刺状の突起があります。(2015年10月13日撮影)。 ☆アツバキミガヨランの花期は5~6月、9~11月の年2回で、放射状に広がった葉の中心部から、高さ1~1.5メートルの長い花茎を真っ直ぐに伸ばします。(2014年10月8日撮影)。 ☆アツバキミガヨランの花序は円錐花序で、花茎は分枝し、下向きの純白(黄白色)の花を多数つけます。(2015年10月13日撮影)。 ☆アツバキミガヨランの白い花被片は6枚で、外側の3枚は萼片由来の外花被片で、内側の3枚は花弁由来の内花被片です。(2015年10月13日撮影)。 ☆花を後ろから観察してみました。外側の3枚は、萼片由来の外花被片です。花柄から伸びる小花柄の付け根には、褐色で披針形の苞葉が見えます。(2015年10月13日撮影)。 ☆花の中を見ると、6本の雄蕊と先端が3つに分かれる雌蕊が見えます。ただし、日本にはアツバキミガヨランの受粉を媒介する蛾(俗名ユッカ蛾)がいないので、自然環境では受粉・結実しないそうです。(2015年10月13日撮影)。 ☆アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)の名は、学名(Yucca gloriosa)の種小名「グロリオサ(gloriosa)」の「栄光のある」という意味を「君が代は栄える」と解釈して名づけられたそうです。「厚葉」は、文字通り葉が肉厚であることから。(2014年10月8日撮影)。 ☆アツバキミガヨランの花言葉は、「勇壮」「雄壮」「偉大」「勇ましい」「颯爽とした」「立派」「全てを持つ」「私に近づかないで」などだそうです。「勇壮」「雄壮」「偉大」「勇ましい」「颯爽とした」の花言葉は、「君が代蘭」という名に由来するのでしょうか。「私に近づかないで」の花言葉は、葉の先端に鋭い刺状の突起があることに由来するのでしょうか。(2015年10月13日撮影)。 ☆アツバキミガヨランとユッカ蛾について調べてみると、興味深い記述(筑波実験植物園「植物図鑑」)がありました。アメリカの自生地には、体長1センチほどの可憐な白銀色のユッカ蛾いるそうです。このユッカ蛾の幼虫はユッカの若い種子しか食べることができないので、母親のユッカ蛾は生まれてくる幼虫のために花粉を集めてきて雌蕊につけ、その後で花に卵を産み付けるそうです。卵からかえったユッカ蛾の幼虫は、ユッカの種を食べて成長します。 ☆ユッカ蛾の幼虫が大きく成長でき、ユッカも種ができ子孫を残すことができる。こんな不思議な「持ちつ持たれつ」の関係は、4000万年という気の遠くなるような年月の間続いて来たと考えられているそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.12.08 05:40:50
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