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カテゴリ:映画
あなたがどんな詩を書いたって日本は戦争に負ける・・・。 昭和になってすぐのこと、萩原朔太郎を師と仰ぐ三好達治は、朔太郎家に同居する美貌の末妹・慶子と運命的に出会う。 たちまち恋に落ちた達治は、結婚を認めてもらうため北原白秋の弟が経営する出版社に就職するが、僅か二ヶ月であえなく倒産。 再び寄る辺なき身となった達治は慶子の母に貧乏書生と侮られて拒絶され、失意の中、佐藤春夫の姪と見合い結婚をする。 時は過ぎ、日本が戦争へとひた走る頃、達治の戦争を賛美する詩は多くの反響を呼び、時代は彼を国民的詩人へと押し上げてゆく。 しかし、朔太郎とはその戦争詩をめぐって関係が悪化してしまう。 昭和一七年、朔太郎は病死。 そして四日後には慶子が夫・佐藤惣之助と死別する。 昭和一九年、朔太郎三回忌で再会した達治は、慶子に一六年四ヶ月の思いを伝え、妻子と離縁し、慶子を家に迎える。 東京に空襲が迫りくる中で、身を隠すように越前三国にひっそり新居を構えた二人には、雪深い冬の過酷な生活が待ち受けていた。 純粋な文学的志向と潔癖な人生観の持ち主である達治は、奔放な慶子に対する一途な愛とその裏返しの憎しみが次第に心を蝕んでゆき、二人の愛憎劇は思いもよらぬ結末を迎える……。 「天上の花」とは、一般的に仏教用語で曼珠沙華、彼岸花のことをさすが、 三好達治は、その詩のなかで、辛夷(こぶし)の花にその名をつけている。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「僕は、あなとを十六年四ヶ月思い続けてきた・・・。」という冒頭のナレーション。 三好達治の慶子に対する態度は、ストーカー。 それほど慶子が好きなのに、男尊女卑の考えが沁みついていて、すぐ、手が出るところは、今でいう、DV男。 三好達治は、父親が金がかからない、学費が官費の大阪陸軍地方幼年学校で教育されたので、暴力が日常的な生活があったのではないだろうかと可哀そうになった。 慶子と暮らす前に、佐藤春夫の姪と見合い結婚をするが、そこでも暴力をふるっていたという。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆★人物相関図★ ★三好達治 詩人:萩原朔太郎を師と仰ぐ。 一生愛した、慶子は、師の妹。 15歳:父の希望で中学を2年で中退、学費が官費の大阪陸軍地方幼年学校に入学。 大阪からの受験者は50名、うち合格は2名だった。 22歳:伯母に学費を借りて京帝国大学文学部仏文科に入学。 ★萩原朔太郎 詩人、温厚な人柄。 名前の朔太郎は、長男で朔日(ついたち)生まれであることから、命名された。 実家が金持ちで、1902年(明治35年)頃、16歳の時最初のカメラを買って写真を始めた。 この時従兄である萩原栄次の日記に 「朔ちゃんが六五銭の写真機を買って来て、屋根の上から釣鐘堂を撮す」とある。 1927年(昭和2年)頃から三好達治、堀辰雄、梶井基次郎などの書生や門人を多く抱えるようになる。 三好達治は朔太郎の4人いた妹の末っ子*アイ*に求婚するが断られ、のちにアイが再々婚した佐藤惣之助に先立たれると、妻を離縁しアイを妻として三国町で暮らすが、まもなく離縁する。 アイとは、映画の中で慶子という名前。 ★萩原葉子 朔太郎の娘でエッセイスト、作家。 「天上の花」の作者。 「蕁麻(いらくさ)の家」は、母親が他の男のもとに走ったことが原因で、幼少期から祖母、叔母など家族みんなに疎まれ、頼みの父親からも避けられてしまう主人公の、まさに棘に囲まれているような生活を描いた秀作。 第15回女流文学賞を受賞。 父親が萩原朔太郎ということで、裕福に育ったのではと思っていたが、とんでもない苦労をしている。 私が萩原葉子を知ったのは、エッセイストとして独り立ちしてからなので、不幸な子ども時代のことは、知らなかった。 森茉莉と仲良しで、フラメンコを踊る人くらいしか知識が無かった。 映画の最期の方で朔太郎の末妹の慶子に 「おば様、葉子です・・・」という若い女性がいたがそれが、葉子だと思う。 ★萩原朔美 今から50年近く前、萩原朔美の名前を知った時は、その名前から、萩原朔太郎の孫だろうと思った。 母親が朔太郎の娘、萩原葉子だと分かった時も、葉子が離婚して元の姓に戻ったからだと思っていたが、結婚しないまま朔美を産んだという。 若い頃、寺山修司脚本の「毛皮のマリー」で美少年 欣也役で出演。 本作では、北原白秋の弟が経営する出版社の社長として出演している。 私は、20代の頃の美しかった朔美が書いたエッセイの載った雑誌を購入していた。 ★佐藤惣之助(1890年12月3日-1942年5月15日) 詩人。 1933年、萩原朔太郎の妹・アイ(映画の中では慶子)と結婚。 晩年には民謡や歌謡の作詞に手を染め、『赤城の子守唄)』『人生劇場』『湖畔の宿』など、通称:六甲颪『阪神タイガースの歌』も佐藤の作詞である。 1942年5月11日の萩原朔太郎の葬儀で、葬儀委員長を務めたが、その4日後に脳溢血で死去。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ■「雪」 三好達治■ 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 ■竹 萩原朔太郎■ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.12.17 01:31:09
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