水の柩 道尾秀介
★★★☆私たちがあの場所に沈めたものは、いったい何だったのだろう。五十数年前、湖の底に消えた村。少年が知らない、少女の決意と家族の秘密。誰もが生きていくため、必死に「嘘」をついている。いま最もまぶしい作家が描く、成長と再生の物語。老舗旅館の長男、中学校二年生の逸夫は、自分が“普通”で退屈なことを嘆いていた。同級生の敦子は両親が離婚、級友からいじめを受け、誰より“普通”を欲していた。文化祭をきっかけに、二人は言葉を交わすようになる。「タイムカプセルの手紙、いっしょに取り替えない?」敦子の頼みが、逸夫の世界を急に色付け始める。だが、少女には秘めた決意があった。逸夫の家族が抱える、湖に沈んだ秘密とは。大切な人たちの中で、少年には何ができるのか。絶望と希望を照らす作家・道尾秀介がおくる、心に染みる人間ドラマ!水の柩2011年10月発行 講談社 286p【内容情報】(「BOOK」データベースより)老舗旅館の長男、中学校二年生の逸夫は、自分が“普通”で退屈なことを嘆いていた。同級生の敦子は両親が離婚、級友からいじめを受け、誰より“普通”を欲していた。文化祭をきっかけに、二人は言葉を交わすようになる。「タイムカプセルの手紙、いっしょに取り替えない?」敦子の頼みが、逸夫の世界を急に色付け始める。だが、少女には秘めた決意があった。逸夫の家族が抱える、湖に沈んだ秘密とは。大切な人たちの中で、少年には何ができるのか。感想 ★★★☆ 最近は鬱屈した少年を書いた小説が多い道尾さん。 それは私、実はちょっと苦手だったりするのですが これはよかったです。 少年の成長が心に染み入ってきます。 同級生の女の子と祖母の痛みがこちらにまで伝わり、 それを引き受ける覚悟をした少年の姿がりりしくまぶしい。 少年が住む温泉郷や 祖母が住んでいたダム底に沈んだ村の風景が 目に浮かぶ美しい物語。 タイトルはこれしかない!という感じでした。 装丁も美しいです。