傷痕 桜庭一樹
★★★最愛の人を失った哀しみからの回復この国が二十世紀に生み落とした偉大なるスターであり、「KING OF POP」と称された「彼」が急死した。彼を心から愛する娘「傷痕」の再生と自立を描く傷痕2012年1月発行 講談社 334p【内容情報】(「BOOK」データベースより)この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。多くの人が彼について語り、その真相に迫ろうとする。偉大すぎるスターの真の姿とは?そして彼が世界に遺したものとは?-。感想 ★★★ なんと、キングオブポップをモチーフにして このような小説ができてしまうとは。 周りの人たちが彼の思い出を語る形式。 現実と虚構が混然一体となり、 華やかで世界中から愛されたはずの 彼の孤独が哀しく胸をしめつける。 現実でも子供たちが彼の救いになっていたのだろうか。 私は全然マイケルジャクソンに 思い入れはないのだけれど (彼の音楽を聞いたりパフォーマンスを見たりするのは 好きです)、 この『傷痕』を読んで鼻がつんとしました。 この小説は桜庭さんの 彼に対する追悼だったのでしょうか。 こういうのを読むと作家の方って凄いなぁ、と あらためて思います。