イン・ザ・ルーツ 竹内真
★★★2011年3月発行 双葉社 412p(2段組)【内容情報】(「BOOK」データベースより)「よーし、今から俺の形見分けをするぞ」と、サニー多田良が孫たちに宣言して取り出したのは、トランペットケースいっぱいの根付。歩、進、望の三兄弟は、それぞれひとつずつお宝を手にする。どれも曰くつきの品で、深い物語が込められているらしい。やがてサニーは、ラスベガスへの博打旅行に勇躍出かけるが、搭乗した飛行機が墜落したという報せが届く。そして、数年後…。祖父の形見に秘められた謎と向き合う三兄弟の十二年間を描いた成長小説。感想 ★★★ 祖父から受け継いだ根付の物語を 自分たちの個性にあった方法で探る 3人の孫の物語。 それは祖父の物語でもありました。 「浦島太郎」「骸骨」「ふくら雀」といった 根付に込められた祖父の思いはなんだったのか、 祖父はどのような人生を歩んできたのか、 それをさぐるうちに 孫たちは 自分の立ち位置を見つけ 今度は自分の物語を紡ぎ始める。 祖父の、根付の、孫たちの、膨大な物語。 重層的にからみあい それが最後に結実。 飄々としていて 型破りな祖父がなんとも魅力的。 孫たちも彼の根付とともに その魅力を受けついで いい男へと成長しそうです。 ものに込められた思い。 家族をつなぐ思い。 読み終えて あたたかな気持ちになれました。 かなり長いお話なので じっくり読める時間があるときに。