水底フェスタ 辻村深月
★★★狭い日常に倦んだ広海は村への復讐に戻ってきた由貴美に惹かれるが、彼女が真に求めるものは……。そしてフェスの夜に事件が起きる。 水底フェスタ2011年8月発行 文藝春秋 363p【内容情報】(「BOOK」データベースより)村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあったー。辻村深月が描く一生に一度の恋。感想 ★★★ 山奥の村で行われる夏フェス。 そこで高2の広海が出会ったモデルの由貴美。 彼女に魅かれた広海は 彼女の導くまま 自分の家が関与していると思われる 「村ぐるみの不正」を暴こうとするが・・・。 どこに行っても誰かの目がある。 自分の小さな頃からのすべてを 多くの人が知っている。 よそ者は排除する。内輪だけで結束する。 閉ざされた村で暮らす 広海のいらだたしさがひりひりと 伝わってきました。 そして 好きになった人は何を考えているのか。 誰が正しいことを言っているのか。 ラストに向けてたたみ込まれていく事件や真実が 心に鋭く突き刺さります。 冒頭に描かれる夏フェスの高揚感とはまったく違う 山奥の村での じっとりとした ひと夏の出来事。 怖いです。 読み終えて爽快感はないけれど 棘のような強い印象が残る一冊でした。 (楽天ブックスさん、 この本を『水底(みなぞこ)フェスタ』と登録しているから 普通に『水底フェスタ』と検索しただけでは ヒットしませんででしたよ。)