舟を編む 三浦しをん
★★★★★玄武書房に勤める馬締光也は、営業部きっての変人として、持て余されていた。そんな時、定年間近の辞書編集部の荒木から、声をかけられる。「きみは『右』を説明しろと言われたらどうする?」周りから見れば変人でも、人とは違う視点で物事を捉え、整理しようとする馬締は、辞書編集部が求める人材であった。そして馬締は荒木たちが新たに作ろうとしている新しい辞書、『大渡海』を編むメンバーとして迎えられる。ベテラン編集者、日本語を研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち続けるチャラい同僚。そして出会った運命の女性。馬締は個性的なメンバーに囲まれながら、日本語という大海原を渡るための舟を編みはじめる。そして長い歳月を辞書とともにすごすことにーー。三浦しをんの、日本語への敬意と愛に満ちた最新長編小説。舟を編む2011年9月発行 光文社 259p 【内容情報】(「BOOK」データベースより)玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていくー。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのかー。感想 ★★★★★ 「大渡海」という国語辞書をつくる人々の物語。 「言葉」に真摯に向き合う人々の物語。 そして三浦さんのそういう人々に対する敬意の物語。 感動しました。笑いました。泣きました。 辞書をつくるにあたっての 言葉に対する人々の愛情と 辞書作りチーム内の協力・一致団結に 胸があつくなりました。 なんと素敵な1冊だったことでしょう。 一見地味な装丁までも意味があるのです。 言葉をあつかうことに才能と情熱があった 松本先生、荒木さん、マジメくんが 素晴らしいのはもちろんのこと、 「だれかの情熱に、情熱で応えること」を 実践した西岡さんが素敵でした。 その分野に直接的に ぱっとわかりやすい才能はなくとも、 その人なりの貢献の仕方がある、と教えられました。 そして「辞書はチームワークの結晶だ」を表現した ラストシーンのきらきらしていることったら! 「辞書作り」の専門的なお話も興味深く 「言葉」についてのこだわりや、 辞書作りの仲間の様子が とってもとってもぐっときた一冊でした。 ※カバーをはずすとお楽しみがあります!