ミンナ仲良しなの?〈かふん〉?
今朝は午前7時過ぎに眼を覚まします。 我が部屋猫〈かふん〉は、『引き違い戸』の隙間から、自由に出入りしています。 午前7時半頃。 何時ものように、自分だけ毛布に包まって仕合せそうに眠っていた「猫神」が眼を覚まします。 「猫神」はパソコンを立ち上げゲームを始めます。 今日は自動車学校の学科が午後4時から1時間入っているだけで、少し不満そうです。 正直言って、「猫神」が、ここまで自動車学校に夢中になるとは思っていませんでした。 対人恐怖と外出拒否で悩んでいたのが、百年前のように晴れやかな顔をしています。 午前8時を待って職場に連絡を入れます。 弟に車を使うことを伝え、「引継ぎ」のため出勤の準備をしていました。 精神的には回復しつつありますが、未だ自信がありません。 途中でダウンしてしまうことを恐れます。 上司には、申し訳なかったのですが、調査物だけの引継ぎを考えていましたので、電話で幾つかの問題点と整理した書類の在り処を伝えます。 上司は納得してくれました。 また、同僚に頼んだ通常の作業も上手く進んでいるようです。 再び、上司と同僚に感謝します。 その後、ベッドに横たわると夢と現実が交差する不思議な世界です。 パソコンをしている心算が、新聞を読んでいる心算が、全て夢の世界だったようです。 そんな「杉の花粉」の状態を「猫神」は半ば呆れたように見ています。 「うつ」歴の長い彼女からすれば、特に問題ないと判断したのでしょう。 ズッと眠っているのですから、「うつ」の回復には此れ以上の治療はありません。 12時過ぎに宅配された「野菜タップリお弁当」を二人で一緒に食べ始めます。 今日は〈かふん〉は間に合ったようです。 前に、鳥の「ささ身」や「殆ど骨だけになった手羽先」を置きます。 美味しそうに食べていました。 最後に「厚揚げ」を置くと、見向きもせず、外へ飛び出していきます。 以前は、取り敢えず、ねだっておいて食べないという非常に贅沢な処がありましたが、最近は満足すれば、それ以上ねだりません。 「杉の花粉」の部屋や母屋の「猫餌」、弟が用意する「猫缶」など、我が家は、猫に関する限り「食べ物」で溢れています。 「猫神」系一族の猫たちと仲良くなりましたので、食べたい時に自由に食べられる環境を確保したのでしょう。 お昼を食べると再び眠ってしまいます。 午後3時過ぎに漸く眼が覚めます。 「猫神」を自動車学校に送っていくことにします。 半時間ほどのドライブですが、少しボーっとしています。 出勤すれば、大渋滞の中、1時間以上車を運転することになります。 下手をすれば事故を起してしまう状況です。 職場には申し訳ないのですが、矢張り「休んで正解だった」と胸を撫で下ろします。 「猫神」の1時間の講習の間、近くの郵便局へ行って入金し、汗に塗れ自動車学校の隣の「漫画喫茶」に入ります。 高々、数百メートル歩いたダケで、心臓が激しく鼓動しています。 「暫らくは通常の生活は出来ない、無理をするべきではない。」 『ユックリと休むように』との主治医の言葉に嘘はありませんでした。 「漫画喫茶」というものに初めて入りましたが、「マッサージ機」が置いてある個室や二人部屋など、少し怪しげな気がします。 でも、疲れ切っていた「杉の花粉」に選択の余地はありません。 自動車学校の近くには他に「喫茶店」は見当たりませんから。 如何いう部屋が良いかと尋ねる店員に「ゴク普通の部屋」と答えると、暫らく思案していたようですが、「マッサージ機」が置いてある個室に案内されました。 1時間473円で15分毎に95円ずつ加算されるそうです。 何を根拠に積算されたのか良く解らない半端な料金設定ですが、フリードリンク付きで、この値段なら特に問題もありません。 「飲み物」と数冊の「漫画」を持って、狭く8割方が仕切られた個室の「マッサージ機」に座ります。 恐る恐る「マッサージ機」のスイッチを入れます。 快感です。 眠ってばかりいて、身体中の筋肉が硬くなっていたのでしょう。 時に唸ってしまうような強度で、背中の筋肉が解されていくのを感じます。 結局、漫画は一冊も読まず、「マッサージ機」をズッと使っていました。 1時間がアッという間に過ぎ去ります。 少し未だ「マッサージ機」に未練がありましたが、仕方ありません。 時間に遅れた時の「猫神」の怒りを思えば、「マッサージ機」を一晩中使ったとしても癒されるものではありません。 初回ということで入会金が必要でしたが、初回割引があったお陰で計420円支払い、隣の自動車学校に向かいます ギリギリ間に合います。 講習が終わったばかりの「猫神」と、二人で車に乗り込み、途中、スーパーマーケットに寄ります。 ペットボトルのお茶2本と88円のカップラーメン、半額のお弁当などを購入します。 レジの小母さんが丁寧に一つひとつ読みあげていきます。 「ラーメン88円、ラーメン88円、『サンドイッチ』399円半額、『カツ丼』639円半額、ラーメン88円・・・・。」 『お茶』と『特価88円ラーメン』を除いて、購入した商品は全部『半額』と読み上げられてしまいます。 「小母さん。もう少し小さな声で!」心の中で叫びます。 隣の店で着る物を物色して戻ったばかりの「猫神」が、「杉の花粉」が購入した商品をビニール袋に入れる時に呆れて言います。 「よくもまあ、半額の商品ばかり買ったものね!」 買い物籠一杯の商品の支払い金額は2千円以下です。 家計を取り仕切る「猫神」に文句を言われる筋合いはないのですが・・・凄く恥ずかしい思いをしました。 『半額』なんて読み上げるな!スーパーマーケット! そのまま帰宅します。 部屋に戻ってベッドに横になると、眠くて仕方ありません。 「猫神」が直ぐに部屋に来ましたので、〈かふん〉は中々近寄ろうとしません。 そのまま記憶が遠ざかっていきます。