偐万葉・若草篇(その7) 本日は、偐万葉・若草篇(その7)と致します。シリーズ第134弾です。
<参考>過去の偐万葉・若草篇はコチラからどうぞ。
偐家持が小万知に贈れる歌3首
西風が ために薨る 身にありて
風信子とは 鈍の子なれり (偏西風子)
(注)ヒヤシンスの和名漢字表記は「風信子」または「飛信子」であるが、ヒ
ヤシンスという名はギリシャ神話に登場する美青年ヒュアキントスに由
来する。
ヒュアキントスに想いを寄せていたゼピュロス(西風の神)は、アポロ
ンと楽しそうに円盤投げに興ずるヒュアキントスに立腹、嫉妬から吹か
せた風によって、アポロンの投げた円盤が額に当ってヒュアキントスは
死んでしまう。その時に流れた彼の血から生まれたのがヒヤシンスだと
されている。西風に殺されたようなものなのに「風を信ずる子」とはこ
れ如何にというだけの歌であります。
枚岡も 春となるらし 梅の花 今しうふふと 咲きてもあれば
また春は めぐり来たりぬ 蕗の薹
摘みつ祈らな 東の空に (偐小万知)
小万知が返せる歌1首
寒土割り 届けよ春を ふきのとう 明日へとつなぐ 新たな歩み
(蕗の薹:写真提供・小万知氏)
偐家持が偐山頭火に贈れる歌14首並びに
偐山頭火が偐家持に贈り来れる歌4首併せ俳句2句
偐山頭火が贈り来れる歌1首
病みの床 言の葉力が 持ち上げる
まだまだ散れぬ 銀輪の道 (輪行基)
偐家持が返せる歌1首
病葉と すでにし似たる 枯れ葉なる
われにしあれば こともなくあれ
七草に 茶目も加へて 八草粥
のこり恵比須も くふと申さむ (小林十一茶)
![七草粥](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/0bcb0efeaf5c344dffe945c4ccac783c64b117ca.59.2.9.2.jpeg)
(七草粥・以下、写真提供は偐山頭火氏)
こぞ既に 喘ぎ喘ぎの パソ麻呂に
背向の我か 今し悔しも (家愚痴)
(注)こぞ=去年
そがひ=背を向けていること
偐山頭火が贈り来れる歌1首
パソ麻呂の 乱を鎮める 行乞僧
春の歌垣 新たな歩み (偐俄SE)
偐家持が返せる歌1首
行乞の きみにし乞ふは 苦しきと
八瀬の我慢の 大原女の夫 (叡山頭火)
明日よりは 河内タケルか 草枕 吉備ゆく君の 道の幸きかれ
春はまだ 浅きに過ぎて 湯の煙
恋しと吉備路 君か行くらむ (誰田山湯火)
偐山頭火が返せる俳句1句
春もまた 湯煙求めて 日々温泉 (誰田山湯火改め日々団子)
![大中山温泉](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/11a0e527d217b80b98bd27c3a0b6b413d24a6c07.59.2.9.2.jpeg)
(吉備国分寺)
偐山頭火が贈り来れる歌1首
その後は 青ヒアシンスも 瘡蓋と
成りて後悔 するもまた行く (山部瘡蓋)
偐家持が返せる歌3首
去年秋に 銀輪散歩 来し背子の
こけての傷も 癒えて春立つ (道辺苔人)
こりずまに また行く背子か 春立てば
そぞろ病の 草の細道 (偐曽良)
春の野に すみれ摘みにと 赤人も
銀輪駆けて また行くらむか (山上俺等)
(本歌)春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ
野をなつかしみ 一夜寝にける
(山部赤人 万葉集巻8-1424)
玄ボウの 頭いづこと 山頭火 頭塔廻れば 三頭なるか (三頭歌)
(注)頭塔=奈良市破石町にある土塔。僧玄ボウ(「ボウ」は日ヘンに方と書
くが、楽天ブログでは使えない字なのでカナ表記とした。)の首
が埋められたという言い伝えがある。
![田原西陵](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/849146e7ec65a11922ce6a7090ed10d58cd804d5.59.2.9.2.jpeg)
(左:頭塔、右:志貴皇子陵)
山頭火は 先を急げど 折あしく
チャリのチェーンは 切れにけるかも (田原皇子)
(本歌)むささびは 木末求むと あしひきの
山の猟師に あひにけるかも
(志貴皇子 万葉集巻2-267)
チャリ走る たるみチェーンの ブチ切れて
坂の上りに なりにけるかも (ついてない皇子)
(本歌) 石走る 垂水の上の さ蕨の
萌え出づる春に なりにけるかも
(志貴皇子 万葉集巻8-1418)
偐山頭火が返せる歌1首併せ俳句1句
青垣を サドルにまたがる 山頭火
家持何処と 空切るペダル (元中野浩一、今修理)
切れし連 何に使うぞ 道無しごとし (偐自転車屋)
(志貴皇子歌碑)
うたた寝は うらうら春の ならひなり
夢見ぞ道は あとで尋ねな (眠家持)
うたせ湯も 数なくあれり 山谷の
険し厭はず お湯を尋ねな (讃湯家)
(本歌) うつせみは 数なき身なり 山川の
さやけき見つつ 道を尋ねな
(大伴家持 万葉集巻20-4468)
(大伴家持歌碑)
<参考>偐山頭火氏のブログはコチラからどうぞ。