偐万葉・もも篇(その2)
今日は久しぶりに偐万葉です。シリーズ第283弾となる、偐万葉・もも篇(その2)であります。
<参考>過去の偐万葉・もも篇はコチラから。
ももの郎女さんのブログはコチラから。
偐家持がももの郎女に贈りて詠める歌20首
並びにももの郎女が詠める歌2首ほか
水走に 咲ける椿の つばらかに 今日も暮らさね ももの郎女
(本歌)奥山の 八峰の椿 つばらかに
今日は暮さね 大夫のとも
(大伴家持 万葉集巻19-4152)
くれなゐに にほへる桃の 花撮りつ いつしか知らず 春をまとへり
(本歌)春の苑 紅にほふ 桃の花
下照る道に 出で立つ少女
(大伴家持 万葉集巻19-4139)
(椿と桃)
書に倦まば 訪ね来てみよ 鵲の 森と梟 妹待つらむぞ
(森ノ宮キューズモール)
君がため わが手もすまに 春の野に
摘める蒲公英 これぞ召しませ
(水走郎女)
(本歌)戯奴がため わが手もすまに
春の野に
抜ける茅花ぞ 食して肥えませ
(紀女郎 万葉集巻8-1460)
(タンポポの花)
チリリンと レディバードの ベル鳴らし 春の小川の 道行け我妹 (虫家持)
テントウの 赤きチリリン 颯爽と 花の下行く 玉串の道
ももの郎女が返せる歌1首
風吹けば 川の桜が 舞い踊り ナミテントウも サンバ踊れる
(天道虫のベルと玉串川の桜)
春たけて 桜さきくさ 芝桜 鈴蘭水仙 美山ぞ幸け (花家持)
(注)
三枝=さきくさ。ミツマタのこと。
幸け=さきけ。「さき」は「幸(さき)」と「咲き」を掛けている。
(本歌)春されば まず三枝の
幸くあらば
後にも逢はむ な恋ひそ吾妹
(万葉集巻10-1895)
(ミツマタと鈴蘭水仙)
(美山町)
和束なる活道の岡の茶畑に 逢へる兒やたれ茶々姫なるか (偐安積皇子)
(茶茶ちゃん)
大峰の 深山の奥の 静謐を 花とし咲くや 大山蓮華 (蓮家持)
あぢさゐの 八重に咲くごと ペリカンの 家にある人 みな幸くあれ
(本歌)紫陽花の 八重咲く如く
やつ代にを
いませわが背子 見つつ思はむ
(橘諸兄 万葉集巻20-4448)
言問はぬ 花にしあれど 道の辺に 咲きて今日もか われをはげます
(紫陽花)
ももの郎女が贈り来れる句に
偐家持が付けたる脇句各2句
風涼しやま宿にしてねまるなり (切株の梟君)
(元句)涼しさを我宿にしてねまる也
(松尾芭蕉 おくのほそ道)
花笠音頭 までは踊らず(石切の家持)
(注)
ねまる=くつろいで坐る、という意味の東北の方言。
元句は奥の細道の旅で出羽尾花沢の俳人、清風の館で歓待を受けた時の挨拶句。清風は尾花沢の豪商、鈴木道祐のこと。
ふくろふはいづこ卯月の迷ひ道 (ももの郎女)
(元句)笠島はいづこさ月のぬかり道
(芭蕉)
さしも知らぬか袋小路と(五月の家持)
(注)
さしも知らぬか=それも知らぬか。
これは、「かくとだにえやはいぶきのさしも草さしもしらじなもゆるおもひを」(藤原実方 後拾遺集612 小倉百人一首51)から持って来た語句。笠島は実方の塚のある土地。現在の宮城県名取市愛島笠島。実方は陸奥守に任じられこの地で没している。芭蕉は奥の細道の旅で笠島を通った時に実方の塚のある地は何処かと尋ねるも立ち寄らずやり過ごしているが、元句はこの折の句。
花の名は覚えるものぞ水走の 八十この道に咲ける兒やたれ (草家持)
(本歌)紫は 灰さすものぞ 海石榴市の
八十の衢に 逢へる兒や誰
(万葉集巻12-3101)
(ミヤコワスレとスミレとヨモギ)
鳥や風 運び来れる 草花の 数多に咲けかし ペリカンの家 (草家持)
ペリカンの嘴にも負けずペリカンの 家にどでかくアマリリス咲く(デカルト)
(アマリリス・ベラドンナ)
家持が 安積の皇子と 宴せし 丘にか妹は 蓬摘むらむ
(安積皇子墓と活道の丘公園 )
やちぐさのうつろふ花とひとは言へ うつろふゆゑにいとしとわが見む (にせ家持)
(本歌)八千種の 花はうつろふ 常盤なる
松のさ枝を われは結ばな
(大伴家持 万葉集巻20-4501)
(アカバナユウゲショウとシロツメグサ)
紫ににほへる花をいならべつ よく見てよしと言へる兒やたれ(ペリカン堂家持)
(本歌)紫は 灰さすものぞ 海柘榴市の
八十のちまたに 逢へる兒やたれ
(万葉集巻12-3101)
(紫の胡蝶蘭)
玉葱のごとやなれると柘榴の実 言へるひとあり日々また楽し(玉葱家持)
玉葱を軒に吊るしてわれ言はむ 柘榴のごとやさはにしなると(柘榴家持)
花柘榴八重にし咲くは秋待てど 花のみ咲きて実にはならざり(八重家持)
(ザクロの花とコマツヨイグサ)
(替え歌)
飲めば度が過ぎ ほど知らず
酔過草の 忘れ傘
今宵は雨も 降りさうな (酔漢夢二)
(元歌)
待てど暮らせど 来ぬ人を
宵待草の やるせなさ
今宵は月も 出ぬさうな (竹久夢二)
ももの郎女が返せる歌1首
玉葱が ぶらり木になり 初夏になり 紅き花見て 柘榴と知れり
(注)掲載の写真は、ももの郎女さんこと「☆もも☆どんぶらこ☆」さんのブログからの転載です。