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カテゴリ:シンギュラリティ
「ウェブが創る新しい郷土」 地域情報化のすすめ 丸田一 2007/01 講談社 パソコンができて、さらに通信ができるようになってから、常に仲間づくりを意識してきた。ワープロ通信や、ニフティサーブ、そして、Win95以来のインターネットでは、まぁおもいつくまま様々な試行錯誤をくりかえしてきた。好き者仲間のネットワークや、趣味の会、あるいは、小学校PTAの父親の会、町内会ネットワークの試みなど。あるいは最近では、mixiなどのSNSを通じての仕事仲間のネットワークができて、きわめて良好に推移している。 と、まずは言っておこう。もちろん、そこには、問題がないとは言えない。ウェブやネットがあっても、もともと、そこに「人間」や「社会」がないことには、インフラや技術ばかりが先行しても、実際に活用され実益を上げるかどうかは難しいところがある。 ちょっと、今のウェブの例えでいけば、「マイナス」Web2.0くらいの話の関連だが、こういうことがあった。1997年頃に、沖縄の米軍の演習が縮小され、本土において数箇所の自衛隊演習場でその分が補われることになった。こちらにある自衛隊演習場周辺の住民達は、米軍の演習を歓迎はしていなかった。しかし、赤旗をたてて反対を叫ぶ以外にも、なにか手はないか、ということで、沖縄から喜納昌吉を呼んでコンサートを行なうことにした。その名も「すべての武器を楽器に!」。地域住民と支援者たち、マスコミも巻き込んだ、すばらしいお祭りになった。 それはそれとして、このコンサートを企画した地元の人たちは、地域の農村の人たちだ。彼らが使用していたのは、地域のメディアだった。つまり、有線放送、というやつである。有線といえば、USENなのであって、特にめずらしいことではないのではないか、と思うのだが、これは実はかなり古いシステムだった。戦後間もない頃、まだまだケータイどころか、黒電話も日本社会に一般的には普及していなかったころ、村内の数千戸の農家だけが使える有線放送が普及したことがある。ダイヤル式の電話が各戸につながり、朝夕にはそのスピーカーを使って、役場からの連絡放送がラジオのように流れるのである。テレビとて普及していない時代のこと、これは画期的なことであった。 このシステムは、ラジオ、テレビ、電話の普及により、現代ではほとんどが消えてしまったのだが、この地域住民の人たちの中ではまだまだ生きていた。そして、1997年当時、毎朝、この農村の有線放送ラジオから、喜納昌吉の曲が流れ、村の人々へコンサートへの参加を呼びかけていたのである。 こういうことは、技術的には、いまやこれほど通信の発達した時代だから、それほど難しくなくできるに違いないと思う。ただ、圧倒的にちがうと思うのは、地域社会の在り方だ。かつては、地域のほとんどが同じ職業につき、ほとんど家族内容もお互いに知っており、また、ほとんどがその地域内で日々を送っていた。であればこそ、その「有線」性も意義があったかも知れないが、いまや、日本の社会においては、地域性というものは失われてしまった。日本の農業政策は現在、大型農家を育成するという方向にあり、大変換が始まったところだ。 なにも農村ばかりではなく、山村漁村はいうに及ばず、地域の商店街も、シャッター通りとして様変わりしているのは、事実のことだ。後継者不足もよく叫ばれる。さて、この地域=郷土、ここに新たに「ウェブ」が何をし得るのか、というのが、この本のテーマだ。「ウェブが創る新しい郷土---地域情報化のすすめ」のタイトルどおり、理念的な部分、現状、そして、実際の試み、そしてこれからの地域について、よく考察されている良書。現在、ホントのこのような問題を抱えて、どうにかしようという人には、とても役に立つ本だろう。 著者には「地域情報化 認識と設計」、「地域情報化の最前線---自前主義のすすめ」、「『知の創造』の進化のシステム---原型としてのインターネット空間」などの著書がある。子供の安全を護るため、地域のシニアネットワークなどを中心にして、「子供まもり隊」などが各地で活動している。地域のネットワークができることをうれしがるべきなのか、これほどまでしなくてはならなくなったことは憂うべきことなのかはともかくとして、この地域情報化の問題、「地域通貨」などと絡めて実践できたら、面白いだろうな、と思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.02.02 18:35:43
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