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カテゴリ:環境心理学
著者のサキャ・パンディタは1182~1251の時代のひと。まさに700年前のチベットを探索する時のメルクマールとなる時代に生きていた。 700年以上も前に、遥か彼方のチベット高原で書かれたのに、現代の日本でも、何の註釈もなしにそのまま通用する内容が多い点に驚かされる。これなら、サラリーマン向けの処世訓か金言集としても、十分以上に通用するにちがいない。p3 いわゆるチベット密教という高度にシステム化された文化がまだ未成熟な時代であったと言うことも可能であろうか。それだけ原石の光があった時代、とも言えるかも知れない。 サキャ・パンディタの時代には「死者の書」はまだ成立していなかったので、彼の見解を聞くことはできない。しかし、サキャ・パンディタが、もしこの書物を見たとしても、たぶん評価はしなかったであろうことは確かだ。サキャ・パンディタの考えでは、この警句に「臨終の時は積んだ功徳だけが頼りだ」とあるように、生前に積んだ功徳だけが死後の行方を決めるのであって、死んでしまった人にいくら経を読んだところで、無意味だからである。p15 一説に、煮ても焼いても食えないと言われるサキャ・パンディタ。当時、勃興していたモンゴル帝国を手玉に取り、まんまとその保護をかち得た政治力の持ち主だったとされる。この「サキャ・レクシュー」だけではなかなかその真実の顔が見えてこないが、この名前が700年以上が経過した現代になっても、チベット人は知らぬものがない、と言われるほどの存在。 サキャ派には独特の教えがあった。「道果説(ラムデー)」という。仏教で因果という場合、ふつうはまず因(原因)があって、そして果(結果)がある。両者の関係はあらゆる事象に貫かれているが、同時に修行が必要とされる根拠でもある。なぜなら、迷いという因があって、悟りという果がある以上、その間を修行によって結ぶしかないからだ。ところが、道果説では、密教の実践においては、因から果へと至る道(過程)にすでにして果(悟りの境地)が実現しているとみなされる。p21 サキャ派は歴史上においては一時的に大きな力を発揮したが、システム的に大きな力を長い時代に渡って維持することができなかった。 サキャ・パンディタは禅には極めて批判的で、いわゆる「無念無想」の境地を獲得しただけでは、成仏できないと強調した。当時、チベットでは中国禅の系統がかなり力をもっており、サキャ・パンディタのようなインド系の衣鉢を継ぐ人々と、熾烈な論争を展開していた。p30 当ブログとしては、チベット密教と禅の共通項さえ見つけようとしているわけだから、サキャ派の教義をそのまま受け取るわけにはいかないようだ。 チベット高原における月の重要性は、日本とは比較にならない。目印になるようなものが容易に見いだせない広漠たる地域では、月こそ最高の目印になるからだ。したがって、月を頼りに夜間、旅することもままあった。p97 カギュー派の話だが、太陽のような悟りを得たガンポパ、月のような悟りを得たレーチュンパと言われるが、「月」の意味が、日本で見ている月とは違うかも知れない。 サキャ派のサキャという名称は、地名に由来する。現在、チベットには、いわゆる四大宗派が存在するが、他の三宗派はゲルク(徳業)派・カギュー(伝統)派・ニンマ(古)派といったぐあいに、どれも抽象的な意味をもっている。それに対し、ひとりサキャ派だけが、根拠地の致命を宗派の名称に採用した。その点に、この宗派がもつ独自性の一端がうかがえるといっていい。p134 つまり氏族性が最も強かったということだろう。 サキャ・パンディタの著作は数多い。その大部分は、先に挙げた「三律儀分別」や「論理宝蔵」、「学者入門」など、仏教に関する専門的な内容に終始する。ほとんど唯一、ここにご紹介する「サキャ・レクシュー」のみが、一般の人々を対象に書かれた書物と考えてかまわない。p152 サキャ・パンディタ自身の格言そのものについては、続いて読もうと思う「サキャ格言集」に譲る。たしかに、これまで読んできた「チベット密教」の、どちらかというと、ギョッとするような「行法」はこの本の中には書いてない。あえて言えば物足りない、とさえ思う。しかし、これはサキャ・パンディタ全体の姿ではない、ということを覚えておくことにする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.16 08:50:11
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