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カテゴリ:医学書・医療分野の本
・在宅医療、とくに終末期や緩和ケアの患者さんに対して、疼痛コントロール等のための持続皮下注はスタンダードと言ってもいいし、補液ルートとしても皮下輸液が主流になっているのが現場感覚である。しかし、使える薬剤や使用方法など厳密には保険適応では認められていないものが多く、手探りで文献を読んだりしてはいるものの経験主義的に慎重かつ大胆に?活用しているのが現状だ。
・その皮下投与について書かれた書籍がやっと出版された。実用的で現場では活躍しているのにエビデンスが乏しい皮下投与について(それなりに)学術的に書かれた本の出版はうれしい。と思ってアマゾンでポチっとして購入した。
〇表1-3皮下輸液できる輸液剤・注射剤 〇表2-1皮下輸液剤の選択 ・保険適応で皮下投与が認められている薬剤は本当に限られていて現状と乖離していると言わざるを得ない。実際に臨床で問題なく使われていているとんどの薬剤に皮下投与が保険適応として認められていない。使用できる薬剤は保険適応で認められるようにしていただきたいものだ。 ・浸透圧やpHは分かっていたけど、皮下投与は血管内投与に比べて薬剤が薄まらずに高濃度で組織に維持されるという理屈は目からうろこで驚きだった。持続皮下注でも痛みを軽減するために薬剤濃度を濃くして時間当たりの注入量を減らすと逆に局所の痛みが増強してしまうこともありうるってことね。なるほど、気をつけねば。 ・穿刺部位の皮膚障害がある場合に、オピオイドにステロイドを混注して持続皮下注する具体的な例が書かれてあり参考になった。 ・ヒドロモルフィン注は、同じ力価でもより少量で済むのでそういう意味でも有用。皮下注投与後の全身循環への移行もモルヒネよりも早い。 ・鎮痛剤の他、向精神薬、消化器症状に対する薬剤などについても章を設けて解説あり。 〇表4-3緩和ケア領域で使用されると予想される薬剤の配合変化 ・オピオイド+ハロペリドールとか具体的に記載あり役立ちそう 〇第6章は現場の実例が緩和ケア病棟、一般病棟、在宅の立場から具体的に書かれていて分かり易かったが・・・ ・在宅医の立場から:二つ器械をつけるよりは多剤を混注した持続皮下注(例えばオピオイドとハロペリドールなど)のほうが簡便ではあるけど、レスキューで不要な薬剤を注入する可能性についてはどうなのかな?たとえば、突出痛に対してレスキュードーズをしたらハロペリドールも注入されるので過鎮静になってしまう可能性もあるのではと疑問を感じる。入院中ならPCAポンプを2台つけて別々に投与することも可能かもしれないが・・・ ・巻末に筑波メディカルセンター病院緩和医療科編の持続皮下注射指示一覧がある
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Last updated
2021.05.28 21:08:15
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