鴉(著者:麻耶雄嵩|出版社:幻冬舎文庫)
長編ミステリ。文庫で549ページもある。
人間関係が複雑に絡み合っているのだが、土台になっているのは、主人公の、弟への屈託した思い。過去を精算するために現在がある、というパターン。
主人公と弟の名が、可允(かいん)と襾鈴(あべる)というあたりで、そんな名前を付ける親がいるわけないだろう、と思うが、なぜそういう名になっているのかは最後で明らかになる。
外界から隔絶した村が舞台。どうやって隔絶を保っているのかはわからない。金属製品はどこから手に入れているのだろう。
村の設定は、諸星大二郎風。
殺人があり、主人公による謎解きがあり、どんでん返しがある。
メルカトルという人物が何者なのかは結局わからないが、ほかの作品に登場する探偵役らしい。
長くても退屈せずに読み終えたが、どうもなじめない。