(著者:橋本治|集英社新書|発行年月:2004年 04月)
思いつきでものを言う上司への対処法かと思ったら、そういう面もあるのだが、なぜ上司は思いつきでものを言うのか、という分析がはじめにある。
それが非常に説得力がある。
第一章は、なぜ思いつきでものを言うのか、第二章は、会社とは何か、第三章は日本的な組織の特徴、第四章は民主主義と能力主義、そしてこれからどうしていった方がいいのか。
上司論ではなく、組織論、社会論である。
「民主主義とは、能力主義である」と言い切ってしまう。その通りのはずなのだが、なぜか結果平等主義がまかり通っている世の中なのだ。
相変わらず橋本治の頭の良さが感じられる本なのだが、妙な昂揚状態で書いたのではないかと思えるような、話の飛躍がところどころにあり、それを自分でも認めている。
上司がなぜ思いつきでものを言うのか説明するために、「古墳に埋められるための埴輪の製造販売を業務とする会社」を例とするあたり、さすがだ。面白いしわかりやすい。
これは、上司をバカにするための本ではない。誰でも「思いつきでものを言う上司」になる可能性は持っているのだし、実際、なってしまうのだ。