2017年にWOWOWで放送されたものを、最近BSで放送したのを見た。
こういうドラマがあることを知らなかった。
全5回の短いドラマで、密度が濃い。
帰郷し、教師となるところから妹の死をきっかけに旅に出るまで。
原作のマンガがどういうものなのかわからないが、毎回、食べ物がテーマの一つになっている。
よくできているのが、賢治を理想的な人間とは描いていないこと。
稼業を嫌い、善意で金銭を与えると、その相手から、父親は仕事として金を貸し、自立を促しているが、賢治のしていることは施しだと言われる。
最終話でも、暴風雨が迫っているのにイベントを延期せず、「なにもわかっていない」と言われる。
妹の病気の悪化で、婚約を破棄するが、そのことで妹からなじられる。自分のために家族が犠牲になることで、自分がどんなに惨めな気持ちになるかを切々と訴える。
もちろん、実在の宮沢賢治をモデルにしたフィクションであり、実話ではないのだが、実際の賢治も、自分の中にある観念の世界がそのまま現実になると思い込んでいたのではないかと思わせられる。