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田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2013.06.06
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3月の安部首相のモンゴル訪問時に、いろいろと「モンゴルと一緒にやりましょう」というような話がありました。

そんな中で、何と言っても一番の注目は世界最大級の炭鉱であるTT(タワン・トルゴイ)開発への日本企業の参加のことでした。

3月31日付け本ブログ「安部首相のモンゴル訪問の成果は? 」(http://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/201303310000/)にも書きましたが、日本とモンゴルのやり取りは微妙にニュアンスが異なっていました。

日本側は「一緒に開発しましょう!」と言い、モンゴル側は「日本へ安定供給しますよ!」と言ってたということです。

安部さんはこの違いを理解しているのかどうかは知りませんが、モンゴル側は開発に日本企業を参加させるなんて一言も言ってなく、単に「日本に輸出しますよ」と言ってるだけです。

なので、訪問の成果と言っても、お互いがお互いの言い分を言っただけって気がしていたわけです。

ですがその後のニュースなどを見ますと、どうもそういう「曖昧な」やり取りですら、中国は気にしているようです。

共同通信社が、モンゴルのガンホヤグ鉱業相が書面で質問に答えたと5月28日のニュースに出ていました。

質問は、TTの国際入札についてだったのですが、その答えは「日本や韓国などの国々と石炭売買の長期契約を目指している」という、何の言質にもならない無難な答えでしかありませんでした。

ですが、どうも日本の新聞社はTT問題の本質がわかっていないのか、「日本の資源確保に配慮する姿勢を示した。」とポジティブに捉えているのです。

そもそも記事の見出しが(神戸新聞の場合は)「モンゴル、日本の資源確保に配慮 世界最大埋蔵量の鉱山入札で」とあたかもモンゴル側がTT入札で日本を優遇するような書きっぷりです。

もちろん、そんなに甘い話ではないです。日本に売るというだけで、開発を日本に任せるなんて今まで全く言ってないのですから。

そういう曖昧なやり取りでも、やはり中国にとっては懸念すべき状況なのでしょう。

最近北京で行われたモンゴルと中国の政府間の委員会で、中国側が「タワントルゴイの石炭鉱床、オユトルゴイ銅山等の鉱山の巨大プロジェクトに協力したい」と再び表明した、とモンゴルの新聞は伝えています。

そう、再びです。もちろん、前から何度も表明しているわけですが、敢えてここで再び強調したいのでしょう。なぜか?

モンゴル側の意見では「先の日本への対応に対する圧力ではないか」と見ているようです。なるほど、中国の対応は早いです。

更に中国側は「通過貨物輸送、海への出口の確保には中国側がモンゴルに支援する用意がある」と表明した、とあります。

これは脅しでしょうかね?つまり日本や韓国に輸出したいんなら、中国を開発に参加させろって言ってるわけです。

参加させないんなら、海への出口確保は保証できないよ、って脅しているのでしょう。

そもそも今もモンゴルから中国とロシア以外に輸出する時は中国の鉄道、港湾を使っているわけで、「わざわざ」こんな表明をする必要はないわけです。つまり「脅し」ってことです。

しかもモンゴル側は「中国企業がモンゴルに投資することを支援している」と表明したそうです。

安部さんへの答えとは微妙に違います。日本へは「輸出」を表明し、中国へは「投資への支援」を表明しています。

TTの話は、一体どのくらいの時間がかかっているのでしょうか?「最終的な決定」かと思われた情報ですら、2011年の夏でした。

もちろん、その数年前からずっと続いている話です。表明から2年近く経っていますが、未だ不明。

大統領選が終わるまでは、何も決まらないでしょう。終われば決まるのかもわかりませんけど。

前は「選挙が終わらないと決まらない」と言われていましたが、選挙終わっても決まりませんでしたから。

一連の言動でわかるように、やはり中国抜きはありえないでしょうね。中国を参加させたら、ロシアも黙ってはいません。

となると、日本はせいぜい中国企業に乗っかっている三井物産が参加できるかどうかでしょうか?

日本は輸出先であって、開発参加国ではないような気がします。TTの国際入札の話が出たばかりのころは、日本勢が圧倒的に有利だったんですけどね。

あるとすれば現在協議中のモンゴルにとっては初となるEPAの目玉としてあるかなってとこでしょうか?確率は低そうですが、祈るしかないです。

モンゴルの人たちのためにも、中国・ロシアに牛耳られる態勢だけは避けた方がいいと思っています。





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Last updated  2022.08.31 10:05:07
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