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カテゴリ:日本とモンゴル(文化・交流)
エルデネバト首相が日経新聞によるインタビューに応じたとの記事が出ていました。
その内容には目新しさはありませんが、先日のモンゴル投資セミナーでの官僚作文よりはましなので、ご紹介します。 まず言っているのが、2107年度の財政赤字をGDP比18%を9%にするということです。GDPの伸びはほとんど期待できないでしょうから、要するに財政赤字を半分にするということでしょう。 具体的には「国民福祉に関する支出以外はすべて見直す」と宣言しています。どこまでが国民福祉なのかはわかりませんが、現地にいても「子供手当がなくなった」とか「住宅用の特別金利がなくなった」などを耳にしました。 更には、公務員の給与も削られているとか、人民党政権になってから、国民には悪い知らせばかりだ、との声も聞かれました。 私は人民党を支持するわけではありませんが、こうなった原因の大半は今夏まで政権を担っていた民主党にあります。民主党政権には、失策以外は思いつきません。 資源ブームで好況に沸いた時には、政治家同士の利権争いに熱心であり、このままモンゴルは「外国の力はなくとも何でもできる」と勘違いし、資源による利益を誰にも渡すまいととんでもない「外資法」を作った。 その結果、多くの外資がモンゴルを見切ったのです。資源以外の分野でも。 更に資源ブームに乗っかって米国を中心にチンギス債を発行したのはいいが、そのお金の大半をばらまきに使いました。 モンゴルの国会では「結局何に使ったのかわからない」「何も残っていない」と言われるありさまで、返済計画はゼロのまま政権を降りたわけです。 この惨状を見たら誰だって国民の不人気があっても支出抑制をするしかありません。ま、勝った人民党が貧乏くじを引いたってことです。 また首相は「月内にIMFの調査団を受け入れ、具体的な支援について協議したい」と話した、とあります。 IMFが10月に来ることは皆知っていることですが、IMFを受け入れるかどうかはまだ明言していません。 そして日本にも「前回(09年)のIMF支援時と同じく、円借款の供与を期待している」と述べたそうです。 日本がどの程度協力するのかはわかりませんが、IMFを全面的に受け入れることになれば、多少は協力するんでしょうね。 中国とのバランスをどうするのか?IMFとは口では言いながらも、本音は「モンゴル政治家の自由度が保たれそう」な中国からの援助を期待しているのではないかと、今もモンゴルでは囁かれています。 ありそうな話は、形式的にIMFを受け入れ、そのお墨付きを信じる日本政府からも資金を入れる。他方、中国とは話を続け、ほとぼりが冷めたころから徐々に中国資金にシフトしていく、なんてこともありかなと勘ぐっています。 記事には、「海外投資家の信頼回復も急ぐ。不透明な規制や、ルール無視の政府の関与を改め、首相直轄の苦情窓口を新設すると明らかにした。」と言ってます。 透明性のあるルールに「する」というのは、もう2-3年前から言ってますし、昨年あたりからは透明性のあるルールに「した」と言ってました。 蕎麦屋の出前じゃないんだから、毎回毎回約束して何もしないのはどうなんでしょうか?もちろん日経新聞の記者がその辺を突っ込めるはずはないでしょうけど。 「鉱山開発中の英豪リオ・ティントに対し、政府が許可を出した後に開発免許料の引き上げを迫るなど、恣意的な法の運用が横行。」だって、そんな昔話じゃないです。 以前、「透明なルールを作る」と宣言した後のことです。その辺の反省を言わないのが今回の政権の特徴ですね。 中国との関係については「シルクロード経済圏(ベルト)構想」に賛成するということですから、これを盾にIMFとは別の名目で中国から援助を引き出すつもりなんでしょう。 最近の中国周辺国は皆同じように見えます。韓国は「習様大好き」と中国に忠誠を誓ったのに、簡単に裏切られてまたアメリカに泣きついています。 フィリピンも「もうアメリカとはさようなら。これからは中国、ロシアと仲良くやる」と言った、わずか数日後に「アメリカとはこれからも大切な関係が続く」と言ってみたり。 結局、モンゴルも典型的な「中国周辺国」に成り下がろうとしているように見えます。 2008年ころは「何があっても、どんなに貧乏になっても中国には頭は下げない」という気概を感じましたが、最近のモンゴルは、「何言ってるの?中国の援助なしでモンゴルは成り立たないよ」と観念しているように見えます。 この地味に見えるエルデネバト首相が「実は中国を手玉に取る、したたかな政治家だった」と言えるようになることを願っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.10.31 16:11:16
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