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カテゴリ:日本とモンゴル(文化・交流)
逸ノ城が引退するとの発表がありました。当然、上位を狙えるだけの素質があるだけに残念です。
逸ノ城は、本名アルタンホヤグ・イチンノロブ(Алтанхуягийн Ичинноров)といい、アルハンガイ県出身の本物の遊牧民でした。「モンゴルは草原の国で、小さいころから遊牧で足腰を鍛えられている」などと勘違いしている日本人は多いです。 白鵬をはじめ、朝青龍、鶴竜などの有名横綱は皆、ウランバートル育ちの都会っ子で、遊牧民ではありません。日馬富士もゴビアルタイ出身と紹介されますが、実際はウランバートル生まれの都会っ子です。 そんな中で、初めて本物の遊牧民が登場してきたときはインパクトありましたね。2014年の新入幕の時は「黒船来襲」とまで騒がれ、新入幕力士が横綱(鶴竜)と2大関(稀勢の里、豪栄道)を倒したのは史上初で、13勝を挙げる快挙でした。 新入幕の翌場所に関脇昇進は昭和以降では初となり、そのまま順当に昇進を続けると期待されました。しかしその後は、幕内上位を行ったり来たりで、なかなかいい成績は続きませんでした。また体重増によるけがが多かったとも報道されました。 しかし2022年には幕内優勝をし、完全復活かと期待されました。ですがその頃から、親方との確執も伝えられるようになり、成績もまた不安定になりました。が、今年の3月場所で十両優勝をし、よしこれからだ!というときに突然の引退発表となったのです。わずか2か月前に十両優勝したばかりなのにと思うととても残念です。 報道によれば、腰の痛みが限界に近く、夜は横になって寝ることもできないほどで、座ったまま寝たとも書かれていました。そうであれば、確かに体に限界が来ているのかもしれません。親方との確執が原因ではという推測もあるようですが、どっちにしても身体がいうことをきかなければ相撲は取れないでしょう。 四股名は「イチンノロブ」の「イチ」、人並み外れた才能を持つ「逸材」の”逸”と相撲留学をしていた鳥取城北高校から”城”を取り、「逸ノ城」と名付けられたそうです。現在は日本国籍を取得しているので、日本人です。 一般に外国人力士が日本に帰化するのは、相撲協会の幹部として残るため(親方になるため)なのですが、どうやら逸ノ城は相撲協会には残らないようです。この辺にも、親方との確執が影響しているのかもと思ってしまいます。 今の幕内で遊牧民出身は、ドルノド県出身の霧馬山くらいでしょう。本物の遊牧民の子が日本で大きく活躍する姿を楽しみにしていただけに残念ですが、本人の決断ですから見守るしかありません。 恐らく、引退の準備なんかは全く考えてなかったでしょうから、今後のことは本当にこれから決めるんだと思います。まだ30歳と若いんですから、第二の人生を思うように歩んでほしいと思います。 お疲れさまでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.05.04 18:18:50
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