テーマ:スローライフ(924)
カテゴリ:父の麦わら帽子
子どもの頃の仕事に、「まつごかき」があった。 「まつご」は、松の枯葉という意味の古い言葉。 まつごは、風呂の焚きつけに使うと、ぱちぱちとよく燃えた。 そのまつごをとりに山に行くのが子どもの私の仕事だった。 大きな籠を背中に背負って、手には、熊手を持って山に、入った。 松の木の下に落ちている、まつご(松の枯葉)を、熊手で集めた。 「あっ、マツミドリがある」と、いつも一緒に行っていた、近所のノブちゃんが言った。 ノブちゃんの指差す木の上には、私たちの好きな、マツミドリがあった。 「マツミドリ」とは、ヤドリギにの実。 私たちは、マツミドリを見つけると、小さなマッチ棒大の実を採って食べるのだった。 それは、ネバネバとして、まるでガムのようだった。 「マツミドリ、美味しいね」とノブちゃんが言った。 「ガムよりも美味しいね」といつか食べたことのあるガムを思いながら私も言った。 去年、旅先でまつごが沢山池に浮かんでいるのを見た。 ああ、昔だったら風呂焚きに持って帰るのに・・・。 そう思いながら、とっさに、マツミドリの味を思い出した。 今も昔も山は変わらず私たちに山の恵をくれる。 ただ、今はそれを恵だと気づかなくなってしまった。 ◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。 ★11月26日*父の麦わら帽子:目次UP ・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.09.24 19:03:05
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