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2020.09.07
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テーマ:読書(8606)
カテゴリ:読書
■道頓堀の雨に別れて以来なり(上)■

■【内容情報】(「BOOK」データベースより)
大阪の川柳結社「番傘」を率いた岸本水府と、川柳に生涯を賭けた盟友たち…。
川柳への深い造詣と敬愛で、その豊醇、肥沃な文学的魅力を描き尽す伝記巨篇。
上巻は、若き水府と、柳友たちとの出会い、「番傘」創刊、大正柳壇の展望から新興川柳の抬頭までを描く。


■【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 恋せよと薄桃色の花が咲くー水府泡幻/
第2章 ものおもひお七は白い手を重ねー「番傘」創刊/
第3章 大阪はよいところなり橋の雨ー大正の青春/
第4章 段梯子で拭いた涙がしまひなりー大正柳壇の展望/
第5章 ことさらに雪は女の髪へくるー新興川柳の抬頭
 この本、庶民の歴史が好きな私には、ぴったりだった。
市電の運賃、朝飯の値段、月給などなど出てくる。
明治、大正、昭和・・・と続く庶民の生活は、あまり読んだことがない。

俳句会館というのはたまにあるが、川柳を扱った博物館はないので田辺聖子は、作ってほしいと訴えている。

庶民の生活が分かるのは、当時の川柳誌が大学や図書館に残っていたからで、散逸したものも多いのではないだろうか。
この本自体が、「川柳の博物館」といってよいくらいにまとまっている。
●読書メモ●

●岸本水府はコピーライターの大先輩で、福助足袋や江崎グリコの広告では画期的な業績をのこし、その文案のいくつかは、広告界で「古典的名作」とされている。


●父親は下級官吏で転勤ばかりの半生だったが、官吏を辞め、大阪・九条に定住し、煙草屋をする。

店の朝勝気な母の塵祓い(水府)

売り上げを読む母親とつりランプ(水府)
●明治36年・大阪発のチンチン電車(市電)が花園橋から築港大通りを桟橋まで走った。

●明治37年には二階つきの電車が走ったが、「すぐやめになった」。
理由は、夏の裸生活が電車の二階から丸見えになったため苦情が出たから。
「水府」という号は、たしか竜宮のことだと思っている。
それに我が大阪市は水の都であるので幾分代表している。

(略)
計らずも今日の新聞の専売局の広告に『水府』という煙草があった。
我が店は煙草を鬻(ひさ)ぐ店なり。(略)(明治41年12.29)

●明治42年(1909)成器商業を卒業。
友達に誘われて大阪郵便為替貯金管理支所に合格し就職する。(日給35銭)
その郵便局は天神橋にあったから千代崎橋から天神橋まで巡航船で通った。

傘で待つ母へ巡航船が着き 水府
●川柳の例会では、披講(詩歌などの会で、作品を読み上げること)で互選がはじまる。
出席者がよいと思う句には、「頂戴」の声をかける。
●明治42年(1912)7月30日、明治天皇死亡。
それから2週間後、大正元年8月14日に水府の父死亡。
父の葬儀に、水府は白装束に編み笠、草履履きで位牌を捧げて棺のあとにつづいた。

●高校時代の親友の父親が大阪朝報という新聞社の株主になっているという話を聞いた水府は
「そこの新聞記者にしてくれへんやろか」
すると友人、
「よっしゃ、ゆうてみたろ」。
明治44年8月3日、水府は南堀江・木綿橋にあった大阪朝報社の門をくぐった。

*水府は、職をやめるたびに、運よく次の職を見つけている。
これも、彼の人柄なのか・・・。
●大正天皇即位の大礼。大正4年11月。
大正4年のおり、水府は23歳。
取材に京都に行ったが、決められた服装はフロック・コートにシルクハット。
もちろん、借り物で、チャップリンのようだったと後に水府は言う。

祝賀気分に花電車、仮装行列で熱狂乱舞は三晩におよんだ。
大阪はもともと「お化け」と称す仮装好き。
節分にも仮装を楽しんだ。
道頓堀のカフェ?で、文化人が、クリスマスになると仮装して大騒ぎした。

昭和3年の昭和天皇即位にもこの仮装はあった。
●水府2度目の結婚式のおり(最初の妻は、産後の肥立ちが悪くて死亡)、親戚の幼女が手毬唄を歌いながら手毬をついていた。

♪ゆンべもらった花嫁さん
むしろ三枚 茣蓙(ござ)三枚
あわせて六枚ひきつめた
結構(けっこ)なお座敷坐らして
何が悲して泣いててや
衿と衽(おくみ)をようつけん
そんな嫁なら去(い)んでんか
馬場(ばんば)の道まで送ってく
馬場の道で日が暮れて・・・


【著者情報】(「BOOK」データベースより)
田辺聖子(タナベセイコ)
1928(昭和3)年、大阪生れ。樟蔭女専国文科卒業。
’64年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で芥川賞、
’87年『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、
’93(平成5)年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を受賞。
また’94年菊池寛賞を、
’95年紫綬褒章を受ける。
’08年文化勲章を受章

道頓堀・相合橋の食満南北の川柳の碑
岸本水府と露の五郎の川柳

十八という日は嫌い春馬逝く  はるな
(季語がないから、これって川柳だろうか)
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Last updated  2020.09.07 00:11:01
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