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2021.02.26
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カテゴリ:父の麦わら帽子
今から60年以上前の子供の頃、私の生活範囲は、歩いていける狭い場所だった。
バスに乗って少し離れた町まで行くことは、年に一度もあるかないかのことだった。
 ある日、私は、バスで父と一緒に山陽本線の和気駅のある町に行った。
歯医者かどこかに連れていってもらったのだろうか・・・。
 帰りは、和気駅の前にあるバスターミナルから乗る。
誰も車を持っていなかった当時は、和気駅からあちこちに向けてバスが出ていて、結構人が乗り降りしていた。
 バスターミナルには、平屋の建物があった。
そこの入り口で、帰りの切符を買って、建物の中に入る。
中は土間になっていて、木枠の四角い炉がきってあった。

炉の中には、灰がはいっていて、真ん中で炭火がかっかとい熾っていた。

土間の火鉢を囲みながら大人が喋っている。
話好きな父は、すぐみんなと笑いながら話をしていた。
 私は、入り口のガラス戸から外を見ていた。
外には、バスが止まっていて、女性の車掌さんがバスを雑巾で拭いていた。

小さかった私は、車掌さんが羨ましくて仕方がなかった。
一番前に立って、腰から鞄を下げ、右手に切符を切る鋏を持っている車掌さん。
なにより、毎日バスに乗れることは素晴らしいと思った。
 当時から多くなかったバスの本数は、今は一日2往復だとか・・・。
ほとんどの人が車を使う。
和気駅前のバスターミナルにあったバスの待合所は、とおの昔になくなった。
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Last updated  2021.02.26 00:02:07
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