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2022.01.26
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カテゴリ:父の麦わら帽子
もろぶた 昭和30年頃の正月は、今とまったく違っていた。
朝起きると、母が、
「餅をなんぼ食べるんなら?」と聞いてくる。
皆の食べる餅の数を煮えたぎる鍋の中に入れる。
12月28日に搗いた餅は、湯の中で柔らかくなってゆく。
大根 雑煮の出し汁は、ダシジャコでとって、醤油で味付けしてある。
具は、豆腐、竹輪、人参、ホウレンソウだった。

雑煮の汁の中に、茹でて柔らかくなった餅をいれる。
ホウレンソウやダシジャコが餅にへばりつくが、それがなんとも美味しかった。
美しいお椀も重箱も祝箸も無かった。
いつもの味噌汁用のお椀に雑煮は入れられた。
重箱  昭和30年頃、今から60年以上前の正月は、今とまったく違っていた。
家にはテレビが無かったし、村の中にも無かった。
だから、自分の家の雑煮しか知らなかった。
みかん  雑煮を食べたあと、母が蜜柑をひとつくれた。
子供に、ひとつづつ蜜柑を渡して、残りは籠にいれて、子どもの手の届かない高い所に吊り下げた。

正月にお年玉がもらえるということは知らなかった。
もし知っていたとしても、もらえなかったであろうけど・・・。
 正月の一日には、小学校に行った。
小学校の講堂に全生徒が集められ、校長の話を聞いた。
話が終わると、全校生徒にミカンが一つか二つ配られた。
独楽 大人たちは皆、家で休んでいて、村の中は誰一人大人の姿を見なかった。
子供は、凧あげ、独楽廻し、マリつきと元気よく遊んだ。

昭和30年頃、今から60年以上前の正月は、今とまったく違っていた。
家にはテレビが無かったし、村の中にも無かった。
だから、自分の家の正月以外知らなかった。

母の炊いた煮しめと雑煮、それに一日一個のみかんだけ、正月飾りも、お年玉もない正月だったが、その頃の正月は、一年で一番はれやかな日だった。
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Last updated  2022.01.26 00:09:33
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