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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:書籍
[物語]
母と妹と幸せな家庭を守ってきた高校生秀一。 そこへ母の元夫で酒乱の曽根が突如入り込み、幸せな家庭をぶち壊してしまう。 母と妹を守るため曽根の「強制終了」を企てる秀一。 しかし、元の幸せな家庭を取り戻すためには秀一自身にも累が及ばない完全犯罪でなければならない。 少年の孤独な戦いが始まる。 嵐の二宮和也・松浦亜弥主演で映画化されている作品。 [感想] この小説は2種類の読み方があって、ひとつは比較的純粋な少年が、(自分のためではなく)家族を 守るために、自らの葛藤と戦い、あえて犯罪に手を染めていく過程を楽しむもの。 一方で、少年自身かなり頭が良く、完全犯罪を行うにあたりかなり周到に用意を行っており、 犯罪小説としても面白い。 本来、純粋無垢な動機による犯罪と用意周到な計画犯罪はなじみにくい気がするが、今作は、 高校生という精神的にアンバランスで、何か犯罪を行うには十分成熟しているという微妙な 年頃によって、うまく融合している。 普通犯罪者というのは、どこか身勝手なところがあり、本人的には納得できる動機であっても、 傍から聴いているとわがままでしかなかったりする。 また、同情すべき状況にあったとしても、あらかじめ警察に相談したり、犯罪以外に方法が 在ったのではないかと考える。 この作品では、少年はそのような世間一般の常識を踏まえ、あらゆる手を打っても、なお 家族を守るためには曽根を殺害するしかないと追い込まれた少年の孤独な戦いが展開される。 少年自身かなり頭が良く、自分に酔う傾向があるため、(各犯罪計画に作戦名をつけるところなど) ややもすると自己陶酔的、自己中心的な方向に行きがちだかそれでも家族を守ることを第一と する部分(家族を守る→完全犯罪→そのためには…)は揺らぎなく貫かれており、とても好感が持てる。 犯罪計画を立てる段階で、法医学等を緻密に調べ試行錯誤するくだりや、実際犯行を行う段階での 緊迫感は、真に迫っておりとても楽しめた。 もし身近に殺したいほど憎い人がいる人にはお勧め。イメージトレーニングになるし、最後まで 読めば、やっぱり犯罪は割に合わないことがわかるから。 お勧め度…★★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年01月30日 09時18分13秒
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