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酔生夢死

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2005年04月01日
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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:書籍
原作:隆慶一郎

[主な登場人物]
斎藤 杢乃助・・・佐賀藩浪人 浪人衆のリーダー
中野 求馬・・・・・佐賀藩浪人後に家老
鍋島 勝茂・・・・・佐賀藩初代藩主 一応名君
牛島 萬右衛門・佐賀藩浪人 杢乃助の右腕 大猿を操る

[物語]
「武士道とは死ぬことと見つけたり・・・」というフレーズで有名な「葉隠」を実践する武骨な侍達の物語。

いくさの中でしか生きることの出来ない生粋の「いくさ人」である斎藤用之助は、徳川の治世の中で職を失い、浪人に身を落とす。

その息子である杢乃助もその気質を受け継ぎ、日々実践の中に身をおくべく「己の死のシュミレーション」に余念が無い。

佐賀藩士は、いざという時に命を惜しまぬよういつでも死ぬ覚悟を固めている。そのためのシュミレーションである。

一方、家老の息子であった中野求馬は、父が殿様(=鍋島勝茂)に常に諫言をしたために、煙たがられ、父は切腹、求馬は
浪人となってしまう。

それでも求馬は勝茂の暴走を止めるため、あえて諫言が出来る立場=家老にのし上がろうと野心を燃やす。

二人(=杢乃助+求馬)は同じような境遇の中、莫逆の友となる。

そんな二人を中心に巻き起こる騒動の物語。


[感想]
寡黙でそれでいて自分のスジは通す漢たちの物語。

時代劇を見ると侍はよく切腹をするし、斬り合いも絶えない。

でも実際は、優秀な人間がぼろぼろ死んでいくようでは政治が成り立たないし、偉い人ほど長生きだったりする。

でも、この作品の主人公達は気持ちがいいくらいに「生」に執着せず、大根買いにいくよって感覚で、白装束を用意したりする。

「武士道とは死ぬことと見つけたり」というのは、主のために死になさいという解釈ではなく、死ぬ道と生き残るかもしれない
道があったらあえて死ぬ道を行った方が生き残る可能性があるという教え。

「花の慶次」でも同じような思想が語られ、逃げるより攻めた方が生き残る場合もあると云っていたような気がする。

この作品でも、何かあれば切腹覚悟で意地を張り、結果としてはうまくいってしまうのはこの思想を体現化しているからだろう。

死んだって矜持が守れるならそれでいい、犬死かもって思うのはやわな証拠だよ。うだうだ云ってりゃあそれだけ自分の価値が下がる。
それならいっそ突っ込んじゃいなって笑いながら死地に飛び込めるほんとの「いくさ人」の姿がそこにはある。

今の大人たちにいえることだが、責任ある立場なら尚更、逃げ道作りながら半端に攻めてんじゃないよ。責任があるなら自信をもって
導いて、それでだめならちゃんと責任取りなさいって云っているみたい。

この作品自体はもう3回目だけど、それでも飽きない。っていうか読み終わってまたぱらぱらめくっている間に途中から
読み始めてしまうくらい引き寄せる力は強い。

隆慶一郎の新作がもう読めないことが本当に辛い。


character  ★★★★★
story    ★★★★★
technique  ★★★☆☆
inpact   ★★★★★

total    ★★★★★





[感想~裏~]
原作者の隆慶一郎は「花の慶次(原題は「一夢庵風流記」)」の作者として有名な人です。

権力者ではなく、己の人間力だけで権力者の鼻を明かす魅力的な主人公が登場することが特徴の歴史・伝奇小説の雄です。

ただ、残念なことに作家として活動した期間が短く、この作品も実は未完の作品で、結末はありません。

それを承知していても再び読んでしまう、そんな魅力を秘めた作家でした。

その特徴は、「影武者徳川家康」から「吉原御免状」や「捨て童子松平忠輝」などに続く、世界観。

そして、[道々の輩]と呼ばれるどの勢力に属しない自由人の活躍ではないだろうか。

「影武者徳川家康」は実は関が原の戦い直前に家康は暗殺されており、その後を引き継いだ影武者=世良田二郎三郎が徳川の世を
築くという内容。

伝奇ものなので勿論史実ではないのだけど、それを感じさせない位リアルで、分厚い上下刊の作品ながら一気に読める。

なまじ歴史に詳しい人ほど唸る現実感がたまらない。

徳川家康=影武者という秘密がその後の徳川治世に大きな爆弾を抱えるというのが「吉原御免状」や「捨て童子松平忠輝」への
流れになっている。

実はハンドルネームのやはちろうはこの作品に登場する本多弥八郎正信に由来していたりする。

漫画家原哲夫(「北斗の拳」の人)との相性がよく、漫画化された作品も多い。

とにかく漢-おとこ-臭い主人公が武骨に自分の道を貫こうとする姿勢が堪らないのと脇を固める個性豊かなキャラクター達
との信頼感~口に出さなくてもたいていのことはわかってしまう~がややもすると子供っぽいヒーローものになりがちだけど、
そこは引き締めて、大人の鑑賞に十分堪えるというか成熟した大人向けの作品に仕上がっている。

作品数自体少ない方だが、はずれが「無い」作家なので、「一無庵風流記」「影武者徳川家康」「死ぬことと見つけたり」
あたりから読んでみるといいかもしれない。






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最終更新日  2005年04月02日 00時58分24秒
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