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カテゴリ:写真 デジカメ 銀塩カメラ レンズ
「キャノンP型(Populaire)」では、広角35mmレンズ用の全視野内に50mmレンズ用と100mmレンズ用の視野枠を磨りガラス状に一括して等倍で表示する方式にしている。
「キャノン7(7型)」「キャノン7S(7型s)」では固定の0.8倍のファインダーの中に35mmレンズ用、50mmレンズ用、85mm/100mmレンズ用、135mmレンズ用の視野枠を手動式でスライドさせて表示する。 (タイトル) 両目で覗いても頭が痛くならない等倍ファインダーの「キャノンP型(Populaire)」と「ニコンS3」 (本文) キャノン7こと35mmフォーカルプレーンシャッター式距離計連動カメラ「キャノン7(7型)」は視野枠が大きくて明るい良くできたカメラである。 ファインダーを大きくするとファインダーの枠が大きくなる。キャノン7以前のモデルと比較するとファインダーの大きさがよく分かる。「キャノンVI T(6T)型」よりも大きいし、「キャノンP型」よりも大きい。 「キャノンVT型」や「キャノンVI T(6T)型」は変倍式のファインダーであり、変倍式はよいのだが「キャノンVT型」35mmレンズ用位置で0.4倍、「キャノンVI T(6T)型」は、35mmレンズ用位置で0.65倍である。「キャノン7(7型)」の35mmレンズ用視野枠の倍率0.8倍にはずっと劣る。5mmレンズ用視野枠の倍率0.8倍を確保するために「キャノン7(7型)」では、カメラの軍幹部が上に伸びて巨大になった。戦艦武蔵と大和が46センチ砲を摘むために艦橋がこれで埋まったのと似ている、というたとえたい。ちょっと違うかな、でも似てはいる。 何度でも確認しておきたいことは「キャノン7(7型)」は、固定式の0.8倍ファインダーであるということ。35mmレンズ用の固定枠でこれが0.8倍である。この固定視野枠の中で35mmレンズ用、50mmレンズ用、85mm/100mmレンズ用、135mmレンズ用にと視野枠を手動で動かすと、倍率は変わらずにそれぞれの枠を示す磨りガラス状の表示がスライドしてでてくる。 「キャノン7(7型)」より前のモデルの「キャノンVT型」「キャノンL2型」「キャノンVT Deluxe型」「キャノンL1型」「キャノンL3型」「キャノンVL型」「キャノンVL2型」「キャノンVI T(6T)型」「キャノンVI L(6L)型」は変倍式のファインダーである。 キャノン二重像合致式連動距離計と連動した変倍式のファインダーとはたとえば変倍式の最終型の「キャノンVI T(6T)型」では、広角35mmレンズ用位置で0.65倍、50mmレンズ用位置では等倍、測距用の拡大位置で1.55倍になる3段変倍式であり、これを手動で選ぶ。「キャノンVI T(6T)型」の広角35mmレンズ用位置で0.65倍はこれでも大きいのであった。それ以前は0.4倍であったので覗き窓の向こうに見える景色は実寸よりはるかに縮小されているので違和感がある。 「キャノンVI T(6T)型」に遅れること6カ月で「キャノンP型(Populaire)」発売された。1959年(昭和34年)3月のことである。「キャノンP型(Populaire)」につづくのは「キャノン7(7型)」「キャノン7S(7型s)」である。「キャノン7(7型)」は1961年(昭和36年)9月の発売、「キャノン7S(7型s)」は1965年(昭和40年)4月の発売である。 キャノンは1959年(昭和34年)5月に35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラの「キャノン フレックス(Flex)」を発売している。キヤノン初の一眼レフカメラキヤノンフレックスに先行して既に8機種が市場にあった。一眼レフカメラは交換レンズの制約を受けず、接写・拡大・複写や顕微鏡写真撮影など万能性を備えている。 技術の節目がこのころにはできていた。つまり二重像合致式連動距離計と連動した変倍式のファインダーは手の込んだつくりで実現できる内容が、一眼レフカメラに比べると乏しいことが明瞭になっていた。 1959年(昭和34年)3月発売の「キャノンP型(Populaire)」からはキャノンは二重像合致式連動距離計と連動した変倍式のファインダーは止めた。 「キャノンP型(Populaire)」では、広角35mmレンズ用の全視野内に50mmレンズ用と100mmレンズ用の視野枠を磨りガラス状に一括して等倍で表示する方式にしている。 「キャノンP型(Populaire)」につづくのは「キャノン7(7型)」「キャノン7S(7型s)」では固定の0.8倍のファインダーの中に35mmレンズ用、50mmレンズ用、85mm/100mmレンズ用、135mmレンズ用の視野枠を手動式でスライドさせて表示する。「キャノンP型(Populaire)」では各氏や枠が一度に表示されているのに比べると手の込んだつくりにはなっている。「キャノンVI T(6T)型」「キャノンVI L(6L)型」までの変倍式のファインダーは「キャノンP型(Populaire)」で終わっている。 35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラの「キャノン フレックス(Flex)」の発売が1959年(昭和34年)5月であり、「キャノンP型(Populaire)」の発売が1959年(昭和34年)3月である。一眼レフカメラのファインダーによって二重像合致式連動距離計と連動する手の込んだつくりになる変倍式のファインダーの意味が薄れてしまった。 「キャノン7(7型)」の発売が1961年(昭和36年)9月であり、セレン光式の露出計を CdSへと変更した「キャノン7S(7型s)」が1965年(昭和40年)4月に発売された。標準型(ハンザ・キヤノン)に始まるキヤノン距離計連動式の高級35mmカメラの歴史は32年目にして「キャノン7S(7型s)」で幕を閉じる。35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ「キャノンF-1」が登場するのは1971年(昭和46年)3月である。 このようにくどくどしく歴史をみてきたのは時代との関係で距離計連動式の高級35mmカメラの市を知るためである。「キャノンP型(Populaire)」以降のキヤノン距離計連動式の高級35mmカメラ「キャノン7(7型)」「キャノン7S(7型s)」のファインダーが簡略になったのには訳があった。 「キャノンP型(Populaire)」を使っていて都合がよいことはファインダーが等倍式になっていることだ。一括で表示されている35mm、50mm、100mmのうち、それを35mm枠と考えて両目でみて撮影するのである。一種のノーファインダーとして撮影する。顔が向いた方が撮影対象で見えるものに対して適当にシャッターを切っていく。35mmレンズを絞り込んでおいて焦点距離を3mかそこらにしておく。シャッタースピードは天候にあわせて決める。「キャノンP型(Populaire)」と「ニコンS3」はともに等倍ファインダーであり一括表示の窓枠も同じである。したがって「キャノンP型(Populaire)」と「ニコンS3」は同じ使い方ができる。 「キャノン7(7型)」「キャノン7S(7型s)」のファインダーは0.8倍である。0.8倍のファインダーを両目で覗くと頭がくらくらする。両目で覗いても頭が痛くならない等倍ファインダーの「キャノンP型(Populaire)」と「ニコンS3」の使い道がみえてくる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年12月10日 11時01分44秒
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