仮想空間シフト
仮想空間シフト【電子書籍】[ 尾原 和啓;山口 周 ] なんだか難しそうな題名で果たして理解できるのだろうかと心配もしたが、要するに、尾原 つまり新型コロナウイルスという未知の脅威によって全く新しい社会に変化した、とい うわけではなく、もともといずれはそうなるはずだった未来の姿に、少し早く強制的に 進化させられた、という方が適切な理解ということですね。 山口 そう思います。例えば、東京で在宅ワークを導入している会社は2019年の段階では2割 に満たなかったのが、コロナの影響で現在は6割ほどとなっています。という概念、つまり在宅勤務とかリモートとかテレワークという働き方について考える本であった。 そして、山口 その結果どうなったかというと、みんな「案外仮想空間(在宅やリモート)でも仕事で きちゃうよね」って気づいたわけですよね。日本生産性本部が20歳以上の雇用者約1,100 人を対象にインターネットで調査したところ、全体の6割程度の人が「新型コロナ収束後 も、このまま在宅ワークを続けたい」と答えたそうです。 これがとても不便なものだっ たら、コロナの収束とともに元の生活に戻るわけですが、そうじゃない。これはもうポ イントオブノーリターンを超えてしまったと思います。 このまま一気に仮想空間へのシフトが進んでいくはずです。 尾原 そもそもの進化の速度が速まったというだけですから、当然そうなりますよね。 山口 例えばメディアアーティストの落合陽一さんは、ステイホームがはじまって逆にすごく 生産性が上がったと言っていましたね。これまではひとつ打ち合わせをするにも移動が 必要であったり、1日当たり最大7件くらいしか予定を入れられなかったのが、今は家 にいながら次々にこなせるから毎日20件くらい打ち合わせできるというように、在宅のほうが効率よく仕事ができるということに人々が気づいた。 いちいちオフィスに出勤しなくともできる仕事が嫌と言うほど多くあるということだ。 いずれそのような世界が来るはずだったのがこのコロナ禍でそうそうにやってきてそして定着してしまったということだ。 確かにパソコン相手の仕事なら在宅で十分だということになる。 仕事のみならず飲み会からあるいは授業まで可能だということが実証されたのだから今後そもそも在宅が可能な仕事はますますそのようになっていくだろう。 その結果仕事の面でスピード感が増し、住むところの変化が起こり、社会全体が大きく変革していくことは容易に予想できる。