絶滅寸前季語辞典
絶滅寸前季語辞典【電子書籍】[ 夏井いつき ] 俳句はたった17字なのだが、決まりが多くて難しい。 それなのに果敢に挑むのはなぜだろう。 書いたところで真っ赤に添削されるものでもあります。 そして季語を知らなければならない。 青き踏む、何て季語知っていますか?◎ 青き踏む 一般には馴染みのない言葉かも知れないが俳句界においてはまだまだ絶滅の恐れのない俳人好みの季語だ。 青草が萌え始めた春の野を歩くはつらつとした喜びに満ちた季語への好感度は極めて高い。 その証拠に例句は探さなくともゴマンとあるし現在もたくさんの俳人たちに詠み続けられているけられている。 だそうですよ。 早速来春使ってみましょうね。 次の句は結構自由だと思います。◎ 色変えぬはずなる松の崖っぷち 夏井いつき 昼食を済ませ家庭科の先生が持参してくださった珈琲の紙コップを握ったまま私は春の波頭が見える崖の辺りまで歩いていった。 その頃私は俳句を始めたばかりだったので一人吟行のつもりで先生方の輪から離れたのだが、何気なく振り向くとやはり紙コップを手にしたカドタ先生がそこに立っていた。 (略) 彼はいきなり大声でこういいはなった。 「せ、先生。ワタクシはニッポンの松の未来を憂いております!」 この句は作者の説明があってはじめてわかる句でもあります。 男に崖っぷちで迫られるなんて一体何事かと、年頃の女性ならそれ相応のことを思うでしょうね。 大体崖っぷちなんて、サスペンスドラマの定番でもあります。 句だけでは不明ですが、説明があってはじめて変わり者の先生が2人いましたというのがわかったという寸法であります。 ああ、面倒だ。