さよなら,転生物語
さよなら、転生物語【電子書籍】[ 二宮敦人 ] しかしだんだんに二宮ワールドに引き込まれていく自分が怖い。 今回は今の自分に満足できず,他の世界に転生できるなら転生してみたいという人の話。 転生できるのは今死んだばかりの人。 その人生を生きることになる。 今まで多くの人が転生したがまた元に戻る人がほとんどのようだ。 このシステムのいいところは, 理想の体,理想の人生を選べるんです。 あ,もちろん,やり直しもききますよ。 嫌だったら現実に戻ってこられますから,ご心配なく。と実にフェアなところ。 転生したらそれっきりということではないところがポイント,ミソなのだ。 この話では二宮の考えが披露される。 まず時について, 時はね,自由にはならないんだ。 待つしかないのさ。 今,何かとの時が遠いなら,近づくのを待つ。 時は常に揺れ,波打ち,脈を刻んでいるからね… いつか波長が重なり合う日が,きっとくる。 とてもとても先になるかもしれないけれど,必ず時は訪れる。 安心して,のんびり待てばいい。とし,道について, いいかい,どんな生き物にも道があるんだよ(略) よく観察しているとわかるんだ。 鳥は自由に飛んでいるようだけど,実は特定の道に沿って飛んでいる。 道は上空の風や,雲の量,太陽の高さなどから決まっているようだ。 魚もそう,獣もそう,みんなそうなんだ。 生き物である以上,自然の法則と,それによって決まる道には逆らえない…とする。 けだし慧眼である。 不快感が先立っていた二宮に関して,読めば読むほどこの作家が非凡であると感じている私である。(4/14記)