憧れの刑事部に配属されたら、上司が鬼に憑かれてました 京の夏の呪い
憧れの刑事部に配属されたら、上司が鬼に憑かれてました 京の夏の呪い【電子書籍】[ 飛野 猶 ] もう一作目からファンになったので、カテゴライズしましたぜ。 読み物として申し分なし。 何より警察組織に関する取材がグッドだ。 この人、京都府警に取材源ありと見た。 もしくは、本人が元警察官とか…。 それはともかく、本作は、放火殺人、保険金詐欺殺人、新種苗盗難事件の3事件に、化野念仏寺とか伏見稲荷を練り込んで、面白い読み物にしたものだ。 なにより、阿久津聖司警部補と若槻亜寿沙巡査部長のコンビがノリノリで、この二人が活き活きと活躍する姿を読むと自然にファンになってしまう。 さて、その怪異を、本件に練り込む手法をいかに評価するかということだ。 つまりそれは私の問題でもある。 もう一度ミステリーの原点に立ち返れば、動機、機会、手法が三大要素だ。 これに私流の要素である、警察組織の知悉、刑事法の知悉、トリック、ストーリー性が加わる。 トリックと手段は似ているけれど、この概念はトリックに手段が含まれると考えるべきだろう。 こうしてみると本作は、怪異を出す以上動機が命になり、ストーリー性につながる。 警察組織とか刑事法の問題は、ミステリーを解くものが警察官あるいは検察官もしくは司法関係者でなければ無視しても良いもの。 本作は京都府警刑事部捜査第一課が組織の根幹だから、当然矛盾した書きっぷりは許されない。 ということで総じて本作はミステリーとして問疑して問題ないと私は考える。 で、続きを読みたいのに、ない。 本シリーズはこれで終了なのか。 残念である。(11/23記)