地獄の沙汰もメシ次第
地獄の沙汰もメシ次第【電子書籍】[ 中村颯希 ] この中村颯希という作家は料理に通暁している。 神様の定食屋でもおいしそうな料理をいっぱい出していた。 本作でもその通り。 みのりというヒロインはネグレクトに遭い、大沢繁に救われ、そのまま養子縁組を組む。 しかしその養父、交通事故に遭い、死亡。 それからの地獄におけるあわただしい騒ぎが本作である。 で、私もおいしいもんには目がない人間なので、神様の定食屋でも読んでいるうち腹がぐうぐうなったりしていたのだが、残念ながら本作は、食べる場所が地獄ゆえ、残念ながら私の腹がぐうぐうなることはなかった。 食というものがいかに気分的なものかがわかる。 ただし、私は本作を1時間で読了できた。 つまりそれだけ魅力的な作品だったということなのだ。 どこぞの、3日も読了にかかった独りよがり本とは全く趣が違う。 そして文章を紡ぐのに15分。 つまり基本1時間15分、75分が私の知的生活の1単位である。 それがね、この間みたいに3日もかかったら、これはダメだね。 そもそも1喫茶店1時間でしょう、限界は。 何てこと考えながら、あたしゃあ必死になって本作を読みましたよ。 そして素晴らしい作品だと思ったわけだ。 中村颯希侮れず。 ミステリー作家ではありませんが、今後要注目であります。(11/15記)