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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2007.02.18
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カテゴリ:アガルタ

 

『アンダーグラウンド』 
村上春樹 1997/3 講談社



<千代田線>

 れだけ多くの本を乱読している時代というのは、私の人生にとって初めてのことだ。ほぼこの一年間、一日一冊の割合であらゆるジャンルの本に目を通しているのではないだろうか。なにか、失われてしまった時間と、いつの間にできてしまった心の隙間を埋めるかのように、私の本への渇望はいまのところまだ続いている。

 私がこの数年間、突然本を読み出したのには、いくつかのきっかけがあった。そのうちの大きなひとつのきっかけは、妻が、本を読み始めたことである。それまでのパート職場のいじめに会い、辞職して、しばらく自宅で休養してた妻に次のチャンスとしてやってきたのは、中学校の図書事務という仕事だった。週3回の半日程度の勤務は身体的に負担にもならないが、給料も少ない。しかし、彼女が得た報酬は、自分がリクエストした本を自らの図書館に入れることができ、また、それらの本をじっくり読む時間をたっぷり与えられた、ということだった。

 それまでのことを考えてみると、彼女は、それほどの読書家でもなく、余暇があれば、むしろ編み物をして、月に1,2着のセーターを編み上げるという生活だった。だから、おたがい、会話するときは、こちらは焼酎を片手にパソコンをいじり、彼女は編み棒をせっせと動かしながら、四方山話をする、というスタイルだった。

 ころが最近はだいぶ変化してきた。図書館勤務の彼女は、自分の気にいった本を借りてきては、深夜まで読むようになってしまったのである。子ども達が小さい時は、毎朝学校に子ども達を送り出さなくてはならないので、妻が夜更かしをするということはなかった。ところが、もうすでに子ども達は成人し、もっと時間を自由に使えるようになった彼女は、数冊、時には、十数冊の本を自宅に持ち帰っては、すっかりその世界に耽読することになってしまったのである。だから、自然と夫婦間の会話というものが減ってしまっていたのだ。

 彼女がその読書の世界にはまっている、と気づいたのは、あるドライブの時だった。一時間ほどの親戚への道のりは、年に何度も行くあたりまえのコースだった。時には眠気もでるし、見飽きた風景になんの感慨もない。その時だった。彼女が最近読んだ本の内容を語りだした。熊谷達也の「邂逅の森」。この作家は、割合最近まで、私と同じ会社系列で同じ仕事をしていた人だ。直接会ったことはないが、友達の友達に位置する極めて身近な人だった。だからいつか読んでみたい、とは思っていたが、生来のめんどくさがりの私はついつい後延ばしてしていたのだった。

 面白かった。彼女が助手席で、暇にまかせて語るストーリーは凄く面白かった。へぇ~、そんなおもしろい本があるのか、と感動した。ほぼ一時間、思い出し思い出し、たまには順序を修正しながら、彼女の語る物語が、最後の大団円までたどり着く頃には、私はすっかり熊谷達也ファンになってしまっていた。もちろん、その日のドライブはとても楽しいものになった。

 の日から、私は、妻が借りてきている本に手を伸ばすようになった。ファンタジーあり、絵本あり、小説あり、時に性教育の本などもある。あるいは、まさに中学生が読むべき本も何冊もあった。私は何冊か読んだが、どうもいまいち納得がいかない。そこで、まさか彼女の図書室にいくことはためらったが、別の近くの公立図書館に行き、自分向いている本はないかなぁ、と探し始めた、というのが、この数年の私の動向である。

 しかも、このブログを書き始めたことが、私の読書が永遠と終わらなくなったきっかけを作った。どうやら、私の場合は、本を読むという行為と、それを書き留める、という行為にハマッたようである。妻も小さなノートに読書感をまとめている。どうやらA5ノートの半分程度に、鉛筆で各図書のタイトル、作家名、簡単なストーリーを書きとめているらしい。感想はごくごく少なめらしい。というのも、図書事務の手前、子ども達に図書についての質問を受けることがたびたびあるらしい。その時、さらっとすぐ回答するには、どうしてもメモ書きは必要とのことである。

 ところが私の場合は、本そのものよりも、私自身の感想のほうに関心がある。ある意味、私自身のためのなにかをするために、ひとつひとつの本が、なにかのきっかけになってくれたら、それでいい。だから、私たち夫婦の本の読み方も違ってきたし、読む目的も違ってきた。もちろん、読む本のジャンルも、好みの作家も微妙に違っている。たまにクロスする時もあるが、そのような時は、その本をお互いに批評しあうのだが、普段は、二人、コタツの向い側に座りながら、永遠と一時間でも二時間でも、無言でそれぞれの本をむさぼり読んでいる、なんてことが起こっている。

 は小説はほとんど読まない。彼女は小説を読む。私は村上春樹をほとんど読んだことがない。彼女は、村上春樹は好きではない、と言いつつ、どうやらほとんど読んでいる。昨日、私は、オウムつながりで、この「アンダーグランド」を借りてきた。実際には、前回借りてきていたのだが、700ページを超えるあまりの大冊なので、手付かずに一回返して、また借りてきたのだ。

 そうしたら、今回、その私の図書用のバッグの一番上に載っていたこの「アンダーグランド」に、まず手を伸ばしたのは彼女だった。彼女もまだこの本を読んでいないらしい。私が読み出す前に彼女が読み始めてしまった。どうやら、今回は、この本、二人で争いながら読み進めることになる予感がする。久しぶりに夫婦間の会話が弾むことになるのか、その本の内容に圧倒されて、ふたたび二人して、沈鬱な無言を共有しあうことになるのか。

 とにかく読み進めてみよう。

つづく






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Last updated  2009.02.08 13:13:45
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TBありがとうございます   トッド&ピッグ さん
コメントするのにも難しい作品ですが、後日「underworld2」を読もうと思います。 (2007.11.21 02:14:11)

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