<初読>よりつづく
「オープンソースを理解する」 <再読i>
秋本芳伸 /岡田泰子 2004/01 ディー・アート 単行本 247p
★★★★☆
オープンソースを扱っている本は多くあれど、そこまでにいたるリチャード・ストールマン達のGNUやフリーソフトウェアの経緯について詳しく最後まで注意を喚起している本はすくない。ところが本書においては、そのところをキチンと抑えてあり、初読の時から感じていたが、なかなか誠実な感じがする。
ネット社会と未来・カテゴリ編=<再読>したいこの3冊=の中の一冊としては、まさに原点を抑える意味で、ストールマンの「フリーソフトウェアと自由な社会」とあわせて、<再読>する価値は多いにある。しかしながら、「ネット社会の未来」そのものを探求しようとする時に、108のエントリーの中から、この一冊、として抜き出すにはやや弱いものがある。
この本は3年半前にだされている本で、ネット社会の動きもそうとうに変化している。実際的な動きの中で、さらに洗われていかなくてはならないのが現実の「社会」だ。ただ、私はこの本を<再読>して、いままではややフリーソフトウェアという概念のほうに強く共感を感じていたところがあり、どうもオープンソフトという言い方にやや曖昧な欺瞞性があるのではないか、と思い続けてきたが、なにはともあれ、ストールマンのGNUやGPLなどを抑えた上で、現実にオープンソフト・ムーブメントがなしてきて成果を考えるとき、今後はあまりこだわらずに、最初からオープンソース、と切り出してもいいかな、と思うようになった。そういった意味でも、この一冊を<再読>する価値はあった。
<再読ii>につづく