前より続く
「人生を変える力」 第十一の予言 シャンバラの秘密
ジェームズ・レッドフィールド /山川紘矢・亜希子 2001/02 出版社: 角川書店 全集・双書 331p 文庫本2006/07
Vol.2 No.0107 ★★★★★(オマケ)
特にひどい日となると、自分の狩猟場に侵入してくる新しい開拓民を嫌っている、怒り狂ったチェロキー族や土地を追われたヤミノール族と出会うかもしれない。p16
お、なかなかいい出だしだなぁ、と2・3ページ読み始めていたのだが、4ページ目に、チェロキーのことが「怒り狂った」などと、いわゆる西部劇ででてくるような紋切型ステロタイプで描かれているのは、がっかりした。もう、やめよう、と思った。なんでまた、あそこでチェロキーを出さなくてはならなかったのかな。まぁまぁと気を取り直してなんとか、最後まで読みとおした。
インターネットの安全性にいつものように疑問を感じながら、私はコンピューターの前にすわってメールを送った。ハッカーは、一番堅固に守られているはずの企業や政府のコンピューターに侵入できるのだ。Eメールのメッセージを傍受することなんて、朝めし前の仕事だろう。もともと、インターネットは主要な大学の研究協力者との連絡用に、国防省によって作られたものなのだ。それとも、インターネット全部が監視されているのだろうか? 馬鹿げたことを考えているな、と結論を出して、そんなことは気にしないことにした、私のメールなど、何千万というメールの一つにすぎないのだ。誰が気にすると言うのだろうか? p25
相変わらずITやネット環境には強い違和感を示す著者である。しかし以前よりは描写される場面が多くなった。そして、今回はチベットのシャンバラがテーマだ。小説であるかぎり、ネタばれは避けるとしても、あちこちにチベットという文字やシャンバラという文字が踊るのを見るのは、私は大好きだ。
「なぜ、このシャンバラ伝説は、そんなに真剣に受け取られているのですか? まるで子供じみていますよ」
「チベット人は、目に見える物質的世界の向こうに、もうひとつのもっと霊的な現実があると信じています。そして、シャンバラはこの地球上に実在し、しかも同時に、霊的な次元にも存在していると信じているのです」自分が危険を冒してこの男と議論していることが、私は信じられなかった。p173
ダライ・ラマもどこかで「シャンバラには自分は行ったことはないけれど、実在する」と断言していた。その言葉の深淵な部分はともかくとして、いわれているところの「理想郷」や「桃源郷」としてのシャンバラは、この三次元上には実在しない、というのが本当のところだろう。中国大陸だけでなく、地球全体を探しても、シャンバラへの道など、三次元にはない。それが当ブログとしての現在のところの結論だ。
しかし、では、シャンバラという概念は無効なのか、と言えば、それは全く違う。実在しないほどの理想化されたものであるからこそ、計り知れない有効性がある。非在でありながら、さも存在しているかのようなリアリティ。これこそがシャンバラの果てることのない永遠なる魅力だ。
シャンバラには、ほぼ異語同義のアガルタという呼称がある。アガルタ文明の中心がシャンバラであるとか、シャンバラの首都がアガルタである、などとやや混同ぎみに引用をされることもある。シャンバラという、ジャーナリストにも追いかけることもできなければ、瞑想家もなかなか到達しえない神秘な世界に比較すると、アガルタはネームヴァリューが低いだけ、なおのこと非在観がつよい。 そしてそのアガルタのことであるかどうかさえ判別のつかない、アガータなる言霊が、実は当ブログの主テーマである。
私たちの伝説はとても古く、しかも沢山の発生源を持っています。アトランティスの神話やメルーのヒンズー伝説のすべては、過去に実際に存在した古代文明から発生しています。そして、その文明で、初期のシャンバラの進化が起こったのです。私たちの科学技術を発達させることが、最も難しいステップでした。科学技術を完全に個人の霊的成長に役立てるようにするためには、お金や権力よりも霊的な理解の方がずっと大切だ、というところまですべての人々が成長しなければならないからです。 p215
訳者あとがきには「彼は現在、『第十二の予言』を執筆中で、。2002年にアメリカで刊行予定とのことです」p330とあるが、検索してみたところ、このタイトルで刊行された形跡はない。2003年に刊行されたのは、「God and the Evolving Universe: The Next Step in Personal Evolution」で、これが翻訳されて「 進化する魂」2004となったのだろうか。この翻訳本は現在のところ、地域の複数の図書館を探したがみつからなかった。いつかチャンスがあったら、目を通してみたいと思う。
次へ続く・・・・・・はず