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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


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2008.09.26
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カテゴリ:環境心理学


「破産者オウム真理教」管財人12年の闘い
阿部三郎 2008/06 朝日新聞出版 単行本 276p
Vol.2 No.321  ★★★★☆

 眼を通したものの、なんのメモもしないで終わってしまった本もある。再読したり、何かの機会のついでに書いたりして、お茶を濁すことも多い。さて、この本もメモしておくかどうか悩んだ一冊。当ブログでは「麻原集団事件」に関する本をすこしづつ読みすすめている。長年直視することができなかったが、事件後10年が経過した時点で、ようやくざっと読んでみようかなと思ったのだった。

 そして、何十冊か読んだ時点では、「慟哭--小説・林郁夫裁判」佐木隆三著を持って、とりあえずの中間結論としておいた。しかし、それでかの集団についての追求が終わったわけではない。もうすこし時間をかけた上で、またかの事件を直視する作業を再開しようと思っている。当ブログで現在「チベット<歴史>深読みリスト」を読みすすめているのも、かの事件をもうひとつ別な次元で解体してみようと思っているからでもある。

 1987年6月ごろ、オウム真理教に名称を変更する。同年7月、麻原は説法でそれまでの小乗仏教から大乗仏教の教えに重点を移した。そして、核戦争が起きて世界は滅びるが、教団が三万人の解脱者を生み、解脱者が世界へ広がれば核戦争は回避できるなどと人類救済を説き始める。

 教義はその後、大乗から秘密乗(タントラヤーナ)、そして秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)へと移る。秘密金剛乗とは修行の最上級にあたるステージで、グルに絶対的に帰依し、「救済のためには殺人もやむを得ない」とする教義である。また、説法の中で「ハルマゲドン(人類最終戦争)は不可避」として、人類救済の重要性を説き、オウムによる救済活動の重要性を説いた。
 
 刊行された著書「滅亡と虚空へ」の中で、「まず、ハルマゲドンは回避できない。しかし、オウムが頑張って多くの成就者を出すことができれば、その被害を少なくすることができる。ハルマゲドンで死ぬ人々を、世界人口の4分の1に食い止めることができる。そして、残りの4分の3の人口の中でどれだけ生き残れるかは、オウムの救済活動次第だと。わたしは、わたしに与えられたこの使命に命を懸けている」などと説いている。
p14

 1996年に当団体破産管財人を引き受けた時点で、すでに著者は70歳を超えていた。その後12年を経て、今年この本を出したわけだが、この人の口からこのようなかの集団の経緯を聞くと、なんとも不思議な違和感を感じてしまう。

 ここに書かれているのは、すでに何度もメディアを通じて語られた、かの集団のステレオタイプの経緯を示す文脈だ。煎じつめればこのような経緯になったとまとめることはできるだろうが、当の集団自体は、そのような経緯などほとんど関係なく、ただただ世紀末幻想に向って突っ走ってしまっただけではなかったのか。教義や予言などは、もちろん、なんの裏付けもなく、集団が暴徒と化す過程でのカモフラージュでしかなかったのだ。

 林郁夫も一人で松本に報告に行き、「今、さっき戻りました。やってきました。」と言うと、松本は、違和感もなく、「そうか。」とうなづきながら「三塩化リンとフッ化ナトリウムを治療棟に隠すから協力してくれ。指示はマンジュシュリー(村井)がするから。シヴァ大神とすべての真理勝者方にポアされてよかったね。マントラを1000回唱えなさい。」などと言った。

 「ポアされてよかったね」とは何事だ。
 人間の尊厳はどこにあるのだ。 
p71

 一時、流行語にさえなった「ポア」。 「改稿 虹の階梯」などでは「ポワ」だが、かの事件後、チベット密教の文脈でその含蓄を味わいなおした人々はどのくらいあっただろうか。

 いつ死が訪れてくるか、それは修行者にとっても定かではない。ゾクチェンの境地に到達し、心の本性を知った者にとって、死は少しも恐ろしいものではなく、むしろすべての束縛から解き放たれた心がその本然の姿に立ちかえる。喜ばしい出来事と受けとられるようになる。しかし、そこにたどりつく前に死を迎えなければならない者がほとんどである。ポワは、たとえいつ死が訪れても動ずることなく、確実に心(意識)を身体からぬきだして、より高い状態へと移し変えるための身体技法であり、チベットでは密教行者ばかりではなく、一般の人々にも広く学ばれてきたものである。「改稿 虹の階梯」1993/04 p553

 この部分は初版1981/07でもまったく同じ文章が書いてある。この死生観を、文化的背景、社会的歴史を無視して、中世チベットの地からいきなり現代日本に輸入したとしても、このままではまったくなんの意味もない。かの集団は、本質的には、チベット密教とはまったくなんの関係がなかった。

 しかし、ここまで来てみると、それでは、それらチベットの文化や歴史を十分に吟味しないで、一連の「ポワ」という文化を不容易に紹介してしまった「虹の階梯」などの「責任」も、やっぱり問われることになるのではないだろうか。「階梯 虹の階梯」も誰が誰に向って何をどう書こうとしているのか、非常にデリケートな問題だ。法は人を見て説け、と言われているのだが。

 この本、事件後に委任された弁護士が、破産した教団に残された財産を明確にして、重篤な被害にあっている被害者の賠償にあてる、と言う作業の12年間の経緯をまとめたものだ。だから、いわゆるスピリチュアリティとしての側面からのアプローチはない。しかし、5000人を超える被害者を考える時、決してあの事件があったことは忘れてはいけない。著者は1926年宮城県女川町生まれ。1999~2005、中央大学理事長も務めている。






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Last updated  2008.09.26 22:27:12
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