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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2019.01.25
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テーマ:お勧めの本(7219)
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『医学生におすすめしたい本』第2弾は白血病になった作家の手記、著者は、いわゆる「日常のミステリー」を書く作家の加納朋子さん、笑えるけど、リアルで臨床医として学べること満載!

医者になって医者としての環境や立場で日々の仕事をこなしていくうちにどんどん患者さんの気持ちが理解できなくなってしまうもの致し方ないとは思いますが、まだ頭の柔らかい学生時代にこんな本を読んでおけば、医者になってからも何か一片でも残っていて思い出せば患者さんの気持ちを理解する助けになるかも?理屈はともかくとして面白い、2018年に読んだ本で自分の中では大賞です。

​​​無菌病棟より愛をこめて (文春文庫) | 加納 朋子​​​

さすが作家、患者サイドからの生々しいリアルな気持ちが伝わってくる、しかも面白い(笑ってしまう)。普通なら悲痛な闘病記なのになぜか最近の著作「ブルドーザー陽子シリーズ」と似た爽快&ユーモアのあるテイストです。(以下、〇は本文引用、●はコメントです)



○「そんな、全体的にオカシイだなんて、なにひとついいところがない出来損ないみたいに言われては私の血液が可愛そうではないか。」○(白血病に梅が効くという情報をTVでキャッチして「持ち込みの梅干を二つ食べる。ガンバレ!梅!」○(輸血をしながら)「どこのどなたかは存じませんが、ほんとにほんとにありがとうございます。」○(好中球が260しかなくてというお隣さんに)「『私なんてゼロでしたよ』と勝ち誇る・・・『昨日の検査では11でしたけど』・・・ふふふ、何だか気分がいいぞ・・・いろいろ間違っている気はするけれども」○「丈夫でいい骨髄だと主治医の先生が褒めてくださっていたそうだ。なんか照れる。」●などなど、分かるような分からないような新感覚がリアル。

・食に対する本能的な執着?●食欲というか執着ってある意味「バイタルサイン」だと思う

○「最後の娑婆飯だ」(本人) 「泣きながら全部食っとる」(父)

○「もううどんに挑戦する私を猛者と呼んで欲しい(誰に?)。」(本人)

○「おしゃれ?何それ、食べられる?」(本人)

・脱毛関係

○「しばらく前から我が家の法律として、言葉狩りを行う旨、一方的に通達してあった。『ハゲ』禁止に加え、『マダラ』も禁止とする。『励む』『励み』はギリギリセーフ。ただし『励ます』については慎重な検討を必要とする」○「今、5ミリくらい?高校球児的な感じ。いじらしいぞ、私の毛根。」

○「うっふっふ、見てろよー、海老蔵さん(いや、彼が見ることはないだろうけれども)。勝手にライバル認定。竹中直人氏でも可。」○「顔の毛が濃くなってびっくり。どうも免疫抑制剤の副作用らしい。そんなところはいいから、頭の方を頑張ってよ。」●笑える!

​・作家魂?

●医者から説明を受けるときにはキーワードをメモしておいてネットで検索したりしながらまとめるというパターンは取材で慣れているんだろうなと思った。担当患者が作家だと分かると主治医やスタッフもそれなりにストレスだっただろうなと思うけど、加納さんの作風を知っていればそんなでもなかったのかも?○「思いついて携帯カメラで無菌室内部とその周辺を撮りまくる。通常、取材でも入れない場所に入っているのだから、記録しておかないと損だ。」●そして夫も作家なので、○「『歯肉炎になったかも。食べ物をかむと痛いの』とメールしたら『ほんと? なったことないから、後で見せて』との返信が、これだから作家ってやつはもう!」●やっぱ笑ける!

・ドナーの気持ち;

○自分が造血幹細胞移植のドナーになる可能性があるので禁酒を決意●まだまだ骨髄移植の話が出るより前に自分で情報を集めてその可能性を考えてアルコール性肝障害のある弟さんが禁酒を決意して実行していたと彼の日記に書いてあった。一番泣けたところかも?兄弟や家族の絆みたいなものを強く感じた。(自分には薄いところだから?)

・実は、研修医や学生に対するホンネの怒りと優しい気持ちも・・・

(怒)○「医療専門用語をいきなり素人にぶつけてくる・・・『ショケイはいつでしたか?』なんて聞かれて、『処刑?』などというやりとりをしながら・・・『初潮』という一般的な用語を使っていたわけでしょ?保健体育で習ったのは・・・『初経』なんて言葉、一般市民にぶつけないでちょうだいな! だいたい何でそんな超プライベートなことに答えなきゃならないのよ。」

(和解?)○学生さんたちに質問され、そのこと(抗がん剤の副作用で歯肉炎症状があること)も付け加えてあげる。ちょっと嬉しそうに書き留めていた。

​​(許し?)●研修医が初体験の未熟な手技の骨髄穿刺でやたらと痛かったにもかかわらず○「優れた医師の育成に、一役買っています、私。」●って素晴らしい!

・加納朋子さんは、この
1年でいちばんハマっている作家さんでしたが、この本を読んでますますファンになってしまいました。いい本に出合えて良かったです。自分が好きな作家さんが書いた本だからというだけではなく、広く、特に医療関係者に読んでもらいたいと思います。

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Last updated  2019.03.30 11:49:44
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