|
テーマ:お勧めの本(7230)
カテゴリ:スポーツする小説
自転車レースの世界の人間ドラマとミステリー。自分も真剣なレースではないけどロードレースやヒルクライムの大会には出ていたことがあるけど、プロの世界はまるで別世界。そんな世界をこんなにもリアルに感じさせる小説だが、著者の近藤さんは直接、自転車レース観たり関わったりしたことがないらしい。すごい想像力と筆力だと思う。
○たぶん、みんなにもわかっている。伊庭は、勝つことを期待されて、レースに出場する。だが、ぼくは働くために行くのだと。 ○「馬鹿を言うな、と。俺たちはひとりで走ってるんじゃないんだぞ・・・非常にアシストを使い捨て、彼らの思いや勝利への夢を喰らいながら、俺たちは走ってるんだ。だから、それを汚す奴は許さない。自らの勝利を汚すことは、アシストたちの犠牲をも汚すことだ、と」 ●嫌な奴だと思っていた伊庭にだんだん共感できるようになってくる、エースの石尾に対する思いは特に中盤から最終章で大きく変わってくる。チームと個人、役割、責任・・・今考えてみれば、自転車レースの世界の話だけど、一般社会でも共通する話なのだなと気が付いた。だから広く読まれる作品になってるんだなと今更気が付いた。 ○あのとき、一瞬だけ、「行け」と言ってくれなかった石尾さんを恨んだ。 ○「あのステージ、泣けたぜ。リーダージャージを着た選手が、チームメイトのパンクを待って、アシストするなんて、こっちでもなかなか見られない」 ○アクシデントは必要だ。そのとき、どういう行動を取るかで、選手の真価が見える。彼はぼくがどう行動するか、サントス・カンタンに見せたのだ。 ●本当の真相は謎だが、石尾はチームのためを考えて数年前に事故を起こした?そして今回はチームの新星達の将来を守るために石尾は自爆したのだろうか。「サクリファイス」(犠牲)はエースのためにサポートするメンバーのことだと思っていたけど、実はエースがチームやチームのメンバーを守るために犠牲になるという話だったのかなと思える。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.12.01 12:15:17
コメント(0) | コメントを書く
[スポーツする小説] カテゴリの最新記事
|