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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2019.12.01
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テーマ:お勧めの本(7223)
カテゴリ:スポーツする小説
 近藤史恵さんの自転車シリーズ3作目は短編集でした。で近藤さん、ごめんなさいまたまた図書館本。


●1作目はこの短編集の布石だったのか?とも思わせるというか「サクリファイス」を深めるスピンオフ的短編集、主人公だったチカ(白石)だけでなく伊庭、むしろ赤木と石尾についての話がメイン、著者は赤城が好きらしいとどこかで読んで納得。自分的にも石尾の過去が分かって彼にもかなりシンパシーを感じた。


2018年11月25日読了

●1作目の「​サクリファイス​」を書いた時点ですでに、書きはしなかったもの主な登場人物のバックグラウンドとして過去のエピソードそれに伴う心理の変化的なものをここまでイメージしていたのではないかと思う。だとすればこのシリーズ3作目は、作者にとっては種明かし的作品なのか?読者にとっては前作を深めて楽しむことができる作品だったと思う。シリーズ3作目なのに続きではなくて、時間軸が前後する短編集ってどうなの?という意見もあるかもしれないけど、よかった。

●自転車レーサーの世界って何となく武士の世界みたい?

「老ビブネンの腹の中」(フィンランドの民話):主人公はチカ。もとチームメイトのフェルナンデスの死、薬物が原因らしい。「北の地獄」パリ・ルーベのワンデーレース、「そのまま走れ!」(ミッコ)
●石畳のコースでパンク、ここで止まったら挽回不能だから・・・でもホントに可能なの?とツッコミたくなるけど妙にリアル〇「生き延びることだ。このビブネンの腹の中で。生き延びて、そしていつか時がきたらここから脱出する。勝つのもそのための手段だ」(ミッコ)
●フリーライター田辺がラストで声をかけてこなかったのは何故か?あったとすれば当然嫌な気持ちになるようなものだったはずだが、彼は実際にレースを目の当たりにして何か感じて考えが変わったと解釈していいのだろうか?短編なのに読みどころ満載。これは「サクリファイス」が前提として存在しているからだと思う。

「スピードの果て」:主人公は石尾亡き後オッジのエースになった伊庭。
●かかわった交通事故でPTSDになった伊庭そのおかげで命拾いする。伊庭の家庭、チーム内のごたごた・・・「告げ口は嫌いです」(怪しいと思っていた偏屈な玉置)、日常の謎サスペンス的な部分もちゃんとある?的な短編。車道を自転車で走っているとホント意地悪してくる車とかいて身の危険を感じることありますよね。実際に自転車通勤中交通事故で骨折2回体験してます。あと、逆にとろとろ走る原付にイライラしたり追い越したりすることもありますよね。私、別にレーサーではないので安全第一を心がけて通勤したいものです。

「プロトンの中の孤独」「レミング」「ゴールよりもっと遠く」
〇「赤城さん、俺のアシストしませんか?」と言われた回想で短編が始まる。「石尾、ロードレースってのは団体競技だよ。」「知ってますよ。だから嫌いです。」
●山猿ことヒルクライムにしか関心がなかった石尾と、山猿の世話係と揶揄されていた赤城の会話。その後石尾がチームのエースとして、赤城そのアシストとして、チームの相談役として成長していく過程が書かれた短編は3つで一つ的な感じ。
〇アシストは自分を殺す。自分の勝利のことを忘れ、エースのためだけに身を尽くす。エースの風よけになって体力を使い、エースがパンクしたときには自分のホイールまで差し出すこともある●と諭された石尾は「エースらしく振舞うのは無理だ」と言いながら、不器用に対応していったのだろう。「サクリファイス」では彼がどれだけアシストと仕事とその人に敬意を感じていたかが書かれている。
〇「俺勝ちましたよね」
●暴君的なチームのエースにアシストすることで実力差を示してエースの座を奪った石尾に痛快さを感じてしまった。
〇「あんたが言ったんだ。俺をツール・ド・フランスに連れて行けって」「まだ、可能性はゼロじゃない」
●「いいな」と思った。二人の心はずっと繋がっていたんだ。

「トウラーダ」ポルトガルの闘牛?:主人公はチカ。またドーピングが関わる話。
〇「スペインは浅黒い肌の情熱的で、そして少し強引な女のような国だった。フランスは、信じられないほど美しい横顔を持つ、よそよそしい女だ。だが、ポルトガルは料理が上手でよく笑う、小太りの女のような国だった。」
●スペインとポルトガルって文化が結構違うみたいだなと変なところで納得した次第である。

近藤史恵さんの自転車レースシリーズ5部作(続編はあるのか?)
「サクリファイス」
「エデン」
「サヴァイブ」
「キアズマ」
「スティグマータ」





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Last updated  2019.12.01 12:18:03
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