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テーマ:お勧めの本(7219)
カテゴリ:現代文学一般
・読みはじめは、あまりの短さに物足りなさを感じ、内容にもあまり共感もできなかった。しかし、そこは何せ38連発なので、読んでいるうちに周波数が一致する作品も出てきて読み終わる頃には「なかなか面白かったじゃん」と思うようになっていた。森絵都さんやはり面白いなと思った。合わずに途中で読むのをやめた本やAudibleで聴いた短編(これがメッチャ面白かった)も入れて森絵都さんは6作目になると思う。
・「piece of resistance」をテーマにした原稿用紙5枚の連載を単行本化したもの。 小説のテーマにするほどには、そんなに大したことではないかもしれないけど、譲れない、こだわりたい、それとなく主張しておきたい・・・みたいなことが書かれた、 220ページに38篇のショートショート的な短篇集。 ・以下、面白かった作品をいくつか
「イマジネーションの檻」 〇なんや、今日もまたおっちゃん一人かいな。目え覚ますたんびテンションががた落ちや。また昼寝したろか。わし見に来とるツラ、なんでいっつもおっちゃん、おばはんばっかやねん。檻の向こう側、平均年齢高すぎや。 ・まず、この短編で心をつかまれた!動物園の像が関西弁でぼやくという設定。人気があるパンダやライオンをひがんで語るぼやきが笑える。「はな子」という名前に反応してないてしまう「ウィッキー」に共感してしまう。笑って泣いてというよくできたとってもいい短篇だ。 「書かされる立場」 〇主人公が、ちょうを捕まえるときのことを、「捕らえる喜びに息もつまりそうになり」とか、「微妙な喜びと、激しい欲望との入り混じった気持ち」とか書いているのを読んで、へんたいだと思いました。 ・「少年の日の思い出/ヘルマンヘッセ」を読んで登場人物の誰かの立場に立って感想文を書きましょうという課題の作文で、これは蝶の立場で読んだ感想文でシュール。これも面白かったと思ったが、何とこれで終わりではなかった! 〇「取るに足りない子供の喧嘩」、「衣食住に困らない富裕層の価値観であって女中には関係ない話ですし」 ・女中の立場の感想文も現実的でリアル、著者が言いたいことを代弁しているかのようだ。 「東京ドームの片隅で」 〇でも、最近はこうも思えるのです。えっちゃんと一緒にいる限り、ぼくはぼくにとって本当のクライマックスを迎えることはできないんじゃないか、と ・アンコール曲の演奏がまだ終わってないのに帰りの公共交通機関の混雑回避を重視して席を立つことを合理的とする彼女に決別!(何も分かれなくても話し合えばいいんじゃないの?とも思うが、価値観が決定的に違うってことなんでしょうね) 「医療現場の溝」 〇「今年から、あっさり、こってり、ふつう、のオプションがつきました」 〇一杯のバリウムも一期一会の出会い。軽んずるは茶の道に非ず。利休の心に非ず。 ・胃レントゲン、バリウムは飲めるけどゲップしてはいけないと言われるのが苦手。で、我慢できずにゲップをしてしまうとレントゲン技師に舌打ちされてしまうのが屈辱なのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.08.09 19:14:37
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