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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:鳥の本
・シジュウカラの鳴き声には意味をなす単語だけでなく、文法もあって単語の順番に意味があるとかいろいろを解明したことで話題の鈴木先生と、ゴリラに近い生活をしようとその群れの中で過ごした山極先生の対談本。山極先生は元京都大学総長。
・実は語られているのはタイトルの「動物たちは何をしゃべっているのか?」だけではなくて・・・むしろコミュニケーションや言語文化の発達や現在の問題点などにまで広がって、むしろそっちが本書の中心話題のような感じ。それはタイトルとは違ったのだけどむしろ新鮮でとっても興味深く読めた。
〇シジュウカラは天敵に応じて異なる警戒音を発する。タカに対しては「ヒヒヒ」、ヘビに対しては「ジャージャー」と鳴く 〇意味を持つ鳴き声、つまり言語の起源は、生存に直結する重大な情報のカテゴリー化だったとにらんでいます ・タカが来たら樹木の中に隠れればいいけど、ヘビが来たら樹木の中から逃げ出さないと食べられてしまう、という具合で対処法が違うからということらしい、なるほど。 〇鳥かごの中だと全然鳴かなくなるんですよ・・安全でエサにも困らない飼育環境下だと、鳴く必要が薄れるからだと思います。 ・全ては生存に直結している、無駄なことはしない 〇山極)手話を覚えたマイケルが、捕らえられたときの様子を飼育員に語り始めた 〇山極)動物は我々のように饒舌にしゃべれない・・・でも、頭の中には複雑な思考や記憶が入っているんですよ。それを伝えることができないだけでの。 ・これってめっちゃすごくないですか?人間以外は「今」「ここ」以外の認識ができないとされていたけど、記憶している過去の場面を順序だてて編集して再現する能力もあるらしい。ってやはりすごい!動物や鳥たちは人間より劣っているわけではなくて人間が感じることのできない世界で生きているらしい。いやいや面白い! 〇山極)踊りと音楽的な声は、狭義の言語が生まれる前から存在したコミュニケーション手段だったんじゃないか 〇霊長類の進化をたどると、ヒトはもともと音声よりも視覚的なコミュニケーションに頼っていた種であることがわかる 〇ごく初期の人間の言語は、音声も伴っていたかもしれないけれど、ジェスチャーとして始まったのではないでしょうか(手を使うヒト) 〇文字は複雑で抽象的な情報を伝えられるが、文字にならない情報をすべて切り捨ててしまう 〇言葉はたくさんあるコミュニケーション手段の一つに過ぎなかった。ところが、現代社会ではその地位が極端に高くなってしまっている。 本書には全く関係ないけど「メラビアンの法則=3Vの法則」を想起した ・メラビアンの法則は、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによって提唱され、言葉に対して感情や態度に矛盾があった場合に、非言語情報からの情報を重視する傾向があるという法則です。 言語情報(Verbal)、聴覚情報(Vocal)、視覚情報(Visual)の頭文字を取って、3Vの法則と呼ばれています。 それによると、言語情報(Verbal)が7%、聴覚情報(Vocal)が38%、視覚情報(Visual)が55%影響を与えるとされています ・これって、動物たちや人間のコミュニケーション発達の過程から考えればなるほどですよね、と大いに納得したのだった。 〇鈴木)動物の言語研究は、動物の世界を理解するだけでなく、僕たち自身を知ろうとする試みなのかもしれませんね。 ・なるほど、確かにその通りだと思います。 おまけ 〇多くの研究者は、動物にも文化があると考えている。学習との違いは、世代を超えて継承される点にある ・この「文化」の定義にもなるほどで目から鱗だったのでおまけ!
・いや~オモシロかった!ノンフィクション分野で久々の大ヒットだった! ご訪問ありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.01.30 21:09:05
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