大分県の臼杵という町を舞台にして、伊勢正三の歌を映画化。市をあげて協力した映画だそうだ。
50歳になった男(三浦友和)が、故郷の幼なじみ(ベンガル)の妻の雪子が危篤だというので帰郷し、再び故郷を離れるまで。
独白と回想シーンがほとんど。
下駄履きに番傘の高校生だったり、女性を巡って決闘したりと、明治のバンカラを現代に持ち込み、あり得ない青春物語として描いている。
かつての「
転校生」などの尾道映画を思い出させる。
男二人は、中年になった姿だが、主人公に思いを寄せていた少女(須藤温子)は回想シーンにしか姿を見せず、現在は、包帯でグルグル巻で、顔が見えない。
回想の中で生き続けているのだ。
感心したのは、少女を駅で見送る場面が現実には起こらないこと。
そういうことが起こって欲しいという少女の願いとして語られるだけなのだ。
現実の煩わしさの中で生き続けていかない身としては、回想の中ばかりが美しく思える。
青春映画でありながら、中年映画なのであった。
雪子を演じた須藤温子がよかった。役にピッタリ。
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