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カテゴリ:その他の読書録
新潮文庫。1994年8月1日。
検索してみたが、もはや絶版らしい。 躁鬱病の北杜夫が、躁の時に吐いた暴言を集めたもので、おそらくかなりの読者サービスが入っていて大げさになってはいるのだろうが、鬱の時との落差など、なるほど躁鬱病の人はこうなるのか、と病気への理解は深まる。 また、病気を理解して欲しいという願いもあって書かれたものであることも述べられている。 それにしても、こんなこと活字にしていいのか、と思うようなことが書かれている。 例えば、ある作家を評して、 最近の彼は傑作を一つも書いていない。 などと言ってしまう。 興味深いのは、文学とエンターテインメントをはっきり区別しているらしいこと。 少し長くなるが引用しておく。 エンターテインメントを馬鹿にしてはならない。深刻な純文学は、文学がまがりなりに分る人間に徒《いたず》らな苦悩のみを与えることが多いが、くだらぬエンターテインメントにせよ、文学なんか少しも分からぬ庶民に、少なくとも憩《いこ》いを与えることが出来る。(p22) 彼女の小説は時代を先取りしているなどと誉《ほ》められることがあるが、所詮《しょせん》、高級エンターテインメントに過ぎない。それだからこそ、文学も碌《ろく》に分らない大衆にちょうどよく、しばしば芝居になったり映画化されるのであろう。 楽天ブログランキング←クリックしてください 楽天会員以外の方のコメントは「輾転反側掲示板」へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2007.06.06 20:02:12
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