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テーマ:江戸時代を読む!(129)
カテゴリ:江戸時代を知る
新潮社。1992年11月10日。
題名にひかれて読み始めたが、江戸の人々の日常を描くというような本ではなかった。 滝沢馬琴の残した詳細な日記をもとに、息子の嫁の路《みち》の生涯を中心に、滝沢家を描いている。 こういう内容なら、「江戸の明け暮れ」ではなく「滝沢家の明け暮れ」「馬琴と路女」の方がいい。 馬琴の研究者が書いたものなのかと思って読んでいたのだが、どうもそうではないらしいと、途中で気づく。日記の翻刻をしているのではなく、翻刻されたものをもとにして述べている。 では、どういう人なのだろうと思ったら、小説家だった。馬琴を主人公にした小説を書いたことがあり、滝沢家のこともいろいろ調べたことがあり、その時に印象に残ったことをまとめたものなのだ。「滝沢馬琴」という著書もある。 他人の日記など読んで面白いことはあまりないのだが、これは面白い。 馬琴の人となりが強烈であるばかりでなく、滝沢家の人々が皆アクが強い。強烈一家である。 初めのうちは不和だった馬琴と路だが、路を頼りにするようになり、彼女が滝沢家を支えていくことになる。 当時は印税制度など無いので、生活は楽ではない。それでも他家よりはましだったようだ。 馬琴と路の波乱の人生は、それ自体がドラマである。 内容は、「滝沢路女のこと」と「馬琴日記から」の二つに分かれている。 滝沢家に嫁したのだから「滝沢路」なのだが、お路が代筆した「吾仏乃記」の第二冊の普賢には、「土岐村氏路 受教 代写」とあるという。(p91) 姓は変わっても氏は変わらないと考えていたのか、中国式に表記したのか。 日記の引用が随所にある。 「右につき 予《よ》 子細《しさい》 相糺《ただ》し候えども 分明《ぶんみょう》ならず」 というように、読みやすく分かち書きにしてある。文語文なのに現代仮名遣いに改めてあるのは気になるが、読者の便宜を図った結果なのだろう。 巻末に「引用文の表記は、必ずしも原文のままでなく、かな遣い、漢文表記など、私意によって改めてあります。」と断り書きがある。 「馬琴日記から」は、路女からは離れて、著者が日記から感じたこと、特に、江戸時代についての思いこみを戒める必要があることについて書いている。 なんと、「自由」も「経済」も熟語として使われているそうだ。 明治になってからの言葉かと思っていた。 楽天ブログランキング←クリックしてください 楽天会員以外の方のコメントは「輾転反側掲示板」へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2007.08.26 11:50:45
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