「雨あがる」だけではなく、「ひとごろし」や「野分」など、山本周五郎のほかの作品も取り入れて各話を作り上げている。
制作者がしっかり山本周五郎を読んでいることがわかる。
「ひとごろし」を取り入れた話では、追われる侍が原田芳雄だった。数回後に、松田優作も出たのには驚いた。
栗田ひろみが思ったほど出てこなかったのは残念だった。
最終回は、息子のところに帰ることができ、やっと安定した生活が送れるようになった、と思わせておいて予想していなかった最後となる。
しかし、主人公たちの心は晴れ晴れとしている。
全話を通して「雨あがる」なのだ。
武士を捨てて百姓になる、という発想にはならない。そういうところも山本周五郎らしい武士としての生き方なのだろう。