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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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2011年04月03日
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AVENUEロゴ10TITAN 『月の光』に癒されて

                    by フルーツ65&塚元寛一&izchan




アヴェニューでは、大変な状況の中で少しでも心に寄り添うようなコラボ作品を
お届けできればと願っています。


フルーツ65さん  素敵なことが起きそうで

塚本寛一  灯台

izchan  不思議の泉



の3人の詩人が各々想いをこめてドビュッシー『月の光』にコラボする詩を書きました。
わずかでも皆様の癒しになれば幸いです。



   1.~月の光~に寄せて。      フルーツ65

   2.ドビュッシー「月の光」より  塚本寛一

   3.月の光            izchan



音楽は、YouTubeの動画を使っています。
フジコ・ヘミングのピアノ演奏と幻想的な動画がステキですよ♪
フルーツ65さんに選んでいただきました。(フルーツさん、ありがとうございました^^)



では、作品です。






    *    *    *
                     







    【~月の光~に寄せて。】  フルーツ65


       樹氷は 海の底で
       珊瑚の子らを飛ばし。
   
   
       水面では ゆらり
       船べりに すがって。
   
   
       草花の にこ毛
       やわらかに 光を零す。
   
   
       鉄橋。
       運ばれるわたしよ、
       何処へ?
   
       (万華鏡の華のもとへ。)
   
   
       街の灯に
       音の洪水も消えて
       今は 
       眠りのとき。
   
   
       硝子のまろみ
       こっそり留まる
       きらめき。
   
   
       書きかけの手紙の
       宛先も忘れて
       今夜は。
   
   
       揺れる蝋燭の
       仄明りに
       透かし見える
       明日のわたし。









    *    *    *
                     







    【ドビュッシー「月の光」より】  塚本寛一


  その1 

羊朶の葉に―― 水晶体が 
冷たく澄んだかけがえのない空気は日陰を好む
  ・・・硝子空虚なむき出しの展示 
  棘だらけの生垣、五、六歩あゆめば
  蜘蛛の糸があったのに、・・・それだのに、忘れてしまった
  きれいであった、おまえの、美しかった時――
 鳥たちが未知の泡沫《みなわ》へと消え、あざやかな
 一層純粋な 酔い痴れ――永遠に これきり・・・
 それにしても不思議な影だ、幽邃と淫猥のさなかに
  しなやかなに泳げる衣裳・・ はなやかな月の夜に
  ゼラチン透かし見る如く おまえは愛憐、恋に恋・・
  ひび割れた窓枠のような つるべの鎖よ――ここへ来て・・

   思い出は―― 涙ぐましい あこがれ
   思い出は―― 眺める・・・ 
 寒さにかじかまる 指の中 ――あなたは語るでしょう
 かぼそい声で・・・どうか、もう一度、天にも昇りそうな胸で
「羽ばたいてごらん・・・、思ってごらん、このメドゥーサの石の世界。
 永遠の輝きに、――嗜欲のうごめくまま、その魅力は増すばかり・・・」
  ( もつれ合う蒼い氷の風・・。なやましい君の馥り・・。
   ああ―― たえがたくなやましい性の発見。)
    熱をおびた花が、うつくしい波をみる不死の幻想
    蘆や蘆のようにかぼそいお前の声は、魂の顫音
   おいで、・・・月の光を教えてあげる
   こんな夜、悲恋でびしょびしょの僕を教えてあげる

  ほっそりとして妖しいお前の首筋
  なまめかしくも、行くあてなくさまよう肉体の影 
  お前のながくのばした髪の毛、お前の白い手、
    お前の小鳥のような心臓、・・・草の根のように白くかすんで
    歓楽のひそむなる。・・・羽根軽るうなる、軽うなる
    氷砂糖のような指の冷たさ、僕の頬をとらえて、すべすべとして
   ―――いけない蝶・・いけない蝶の音楽
   こんな夜・・・、いつも恐れに震えてる――
 もし、水車が見えると言ったらどうする? 目に沁むような
 もし、夜更けの駅から野原へと、出掛けたあの夜の僕の血、
  ねえ、妖しいほど、狐みたいに細目になった僕が、欲しい、
  と言ったでたらめな感情みたいに、変わらずに、時を止めたら――

    声音をひびかせたとき 解き放たれた 身振りで
    風に吹き散らされた おまえ・・
    矮木みたいに、そこにただ、ただよう泡みたいに、
    ・・・小さき音、かわらず
  波でも見ているような、皮膚のよろこびも、かわらず
  何処までも流れてゆくナイチンゲールの声も、かわらず
  教会、丘、目もくらむような星さえも、かわらず――  
   思い出は―― 涙ぐましい あこがれ
   思い出は―― 眺める・・・ 眺める・・ あなたを
    「眸に移る 古い庭園。ここは、僕が希臘式と呼んだ庭園。
     ほら、ふきあげの音が聴こえる・・・夜の象たち、蝕ばみたち。
     ・・・月の光が次第に近づいてくるような、ああ、優しさ――」
    それは、透明なる蜃気楼。亡霊のような、渚・・。
    でもせつない哀傷が、熱病のようでうれしい夜半のこと――
   やっぱり君のことを思い出す、飛行の夢、雲の去来と・・・
   あの輝かしかった短い日、――僕の眠りを醒ますまでに輝く真夜中
   夢現・・・花にうつ俯す夕方の記憶――夏の魅惑《まどわし》・・・
     そのどれも、美しかった、――優しかったから・・・
     ねえ、ひるがえって、悲しみの熟れゆくまま、模様になったのかな
    遠くから、――とおおくから、やさしい銀色の雨・・


  その2


まだけがれを知らぬ天使のような大自然、
明るい光の中には、祈りの声が溶け込んでいるようだった。
小鳥たちは、囀っていた。
頬肉《ほおじし》が、団栗という滋養にみち、
まるで気だるげなエデンの園の洞穴からひびく、
洩れる歌声。・・・風のまき散らす熱狂は、
おおきな竪琴の音楽のように、荒削りな獣、時に草刈り、
芽吹き、――あるいは息継ぎのように・・。

 ひときわやさしくざわめいていた

とおい村よ、蒸気のような色影に、乾いた靄におおわれ、
一個の壜のように思える、なつかしい村よ――
子供が足踏みをし、また明日という頃・・ちいさな花がきらきらする。
鶫や、野鳩・・そして西洋の絵をそっくりそのまま写した洋館よ!
掌の中で、雲が流れ――雲が切れる
あて名のない手紙は小さな灌木の下で・・切手は石井戸に――
真珠いろの空気に月もくらむほどの美貌をもった湖のほとり、
・・・官能の火が燃える土、時計がうたう――薔薇の花・・、
愚かなほどに迷う花吹雪・・煙のように匂う焔の列、女性の肉体、
口付けのような愛は繁殖期を、収穫期を、
けしてけして忘れない・・物それぞれは、まぶしいくらいに
部屋の隅にまで射してゆく、楽しみのなかに、願いのなかに、
ああ、大きな翼をたたんだ葡萄のように、
その蔓のように、――ただ一瞬ごとに、その想いを深めながら

 ひときわやさしくざわめいていた

しずかに鐘の音を聴いていた午後、じっと熱っぽく、
汽車のようだと思った。・・・旅に出るね、でもさあ、「止まろう」
――そしてわざと樅や、いや、楓のひと葉でもいい・・
落としてやってくれよ、別れの言葉がいっぱいの青年に――
世界はあいかわらず、闇の中で椅子にすわっているように思える。
・・・聖らかな道――邪まな道「止まろう!」
言葉はいろいろな笑い声や、泣き声を覚えている・・
霧を享けて、それが花びらであろうとは、酸い果実のようだとは、
神の慈しむ泉の飛沫だったとは、・・・ついぞ思わず、
野山のうつくしい季節が、天へのいざないが、
かすかな鈴の音と共に――幼さに溶けるのだ

 ひときわやさしくざわめいていた

きれいな雨上がりと、蛙の鳴き声・・。
それは放物面鏡に、古びた黒い家だの、しろい水車小屋だのを、
牡牛に、あるいは羊の群れに与える。――高く涯しもしれぬ空よ・・
今宵、空から星屑が三日月のように散らばるかも知れない。
それは鮮やかな群青いろの下に、弓の名手でもいるような・・
死者を称えることば――さらには、麝香、パイプオルガン、
そして、石の柩でもあるような宇宙の神秘を感ずる。
それは停車場の芝居。あれは、いつまでも揺れていた、愛しい女《ひと》・・
いまは花を手折ること、悲哀を育てることに執心し、
月を水に映った影のように思う――そこに咲いていたレース編み、
むかしむかしのそのむかし、・・壺の中にいれた蛇と蛇のような・・
じゅんすいな愛欲、――あたらしい蕾の脈動、

 ひときわやさしくざわめいていた

そしていま小さな火が見えた。おしゃぶりが見えた。
あわやかな木蔭いろに染まった乳ぶさが――
やがて長い沈黙は指の間からするりと指輪のように滑り落ちて・・、
もう葉が息をひそめているし、――夜があつらえた無数の縫いとり、
星型模様の大壁画に、恋の季節の雌鹿の眼などがあふれてしまう朝焼け、
一歩踏み出すたびに、ためらう・・・いまもかすかにゆれる木の中へ、
実の中へ、花の中へ――莟の中へ、空の中へ・・
それでもしずかに歩み出す、氷の嘴を折るように、
ざくざくざく・・と! 地獄の門からつづく陰鬱な世界などが、
耳をとめて、・・・叫び出したいような、眠ったら死んでしまうような、
いま自分は死刑執行人のような、苦しみを抱きながら――
歩いてゆく、瞼に虹でもあるような、曙の光よ!
・・・いまはまだ、波と飛沫のうねるなか、埃と影がもつれあう、
月の光――月の光のあまいささやきを・・呼んでいる
――呼んでいる、金色の絹の波、弓を誘う丸天井・・









    *    *    *
                     







    【月の光】  izchan


    青い、やさしい月夜です。
    浜べに、氷の花が咲いています。
     〈1万本とも、2万本とも、
    月のしずく、が花の涙にキラメイテ。

        ♪~Clair de luna~♪

    ゴンドラは、ゆらんゆ~らん金色です。
    竪琴つまびく、
    横笛ふるふる、
      しらべ、は流れて 浜の揺り唄。
    花の想いは、帰らない家路です。
    そっと そっと 月の光につつみましょう。

        ♪~Clair de luna~♪

      キラッキラ星くず、ふりかけて。
      サラッサラ銀河に、かえしましょう。
    氷の悲しみがゆるく、とけて、
    1本、また1本、
    夜空を花がのぼります。
      光の帯が ほどけて 踊る、

        ♪~Clair de luna~♪

    荒ぶる海神も鎮まり、波の子守唄に眠ります。
    浜べは
    青い、やさしい月夜です。









    *    *    *




フルーツさん、塚本さん、素晴らしい作品をありがとうございました。

皆様の心に、やさしい月の光が射しますように。。。






        アヴェニューは少しの間おやすみしまぁす!

     新しいプログラムを用意して再開しますので、お楽しみに♪










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最終更新日  2015年08月04日 18時56分04秒
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