653553 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2012年04月10日
XML
カテゴリ:宣伝

さあ今日のAVENUEは、H・ひろやすさんの音楽少年成長日記を紹介するよ。

《幸せは鐘の音とともに》とかいうのがタイトルだ(^◇^)

   (・・・はと、除夜の鐘って知ってるの、とマメニュー編集長が聞いた。

   ・・・あたりきしゃりき!はとのまめでっぽう!

      ――じんぐるべえ、じんぐるべえ、つつがはるう♪

        はと、それ根本的になにかまちがえてるよ(p_-)


  今日のはとの一言「すだこは、はともうまいかとおもう」


  (^◇^)



          「みんな、今年もまんとひひになれるといいな」

              ・・・何が言いたいの、はと(p_-)


       ――さあ、みんなも、ひろやすさんの所へ行こう・・ところで・・・


  はと、すだこたべないなあ(^◇^)


     ・・・はと、宣伝よりも食い気なのかい、おお(p_-)

       ・・・みんなも懐かしい子供時代にかえりましょう・・・



北條宏泰の音楽レビュー大興奮!!


妙泉寺の年越し



 子供の頃、学校が休みに入ると母親の故郷の山梨で過ごした。

母の実家は、甲府駅から車で20分ほどの田富町にある妙泉寺と

いう大きなお寺。冬休みも妙泉寺に行って年を越した。


 田富町は甲府盆地の真ん中辺りにある町で、今は隣接する村や

町と対等合併になって中央市と呼ばれるようになった。夏は蒸し

暑く、冬はとっても寒い所だ。盆地特有の寒暖の激しい気候の中

で、甲府盆地の人達は暮らしていた。


 お寺は天井が高くて夏はお寺の中に入ると涼しくて良かったん

だけど、逆にその天井が高いというのが冬になると凄く寒かった

りした。アルミサッシなんて物は無かった。木の枠にガラスを埋

め込んだ硝子戸だったから、ぴっしり閉め切っても何処からとも

なくすきま風がピュ~ピュ~と吹き込んで来た。北風大王様のお

通りだ。

                                    ふすま
 その上に石油ストーブさえ少ししか無かったのだから、障子や襖

をどんなに締め切っても余り温かくならなかった。天井は高いし、

一つ一つの部屋は広いし。かなり寒かったと思う。でも、子供は風の

子だったのか知れない。そんな事、僕には大して気にならなかった。

             こたつ
 暖房機具は、火鉢と炬燵だけ。火鉢も炬燵も炭を使って温めた。

大きな火鉢三つ、炬燵が三つ。炬燵は掘り炬燵が二つに、普通の

炬燵が一つ。それ等は居間や広間や離れに置いてあった。それか

ら、手焙り(てあぶり)と呼ばれていた小さな火鉢が十個位あって、

土間や台所などの人がよく集まる場所に点在して置かれてあった。


 背中を丸めて両手をこすりながら、拭き掃除を終えた後のかじか

んだ手を廊下に置いてあった手焙りにかざして温めていたおばあち

ゃんの姿。「おお~さむさむ~!」って声を出しながら、炬燵に滑

り込んで炭火の熱が全身に回って温まるまで、しばらく目を瞑って

いた若かりし頃の叔父や叔母の姿が昨日の事の様に思い出される。


 鐘突きの話以外にも、冬休みの妙泉寺での楽しみを思い出した。

お寺には母親の八人兄弟の末娘のおばちゃんが、特に可愛がってい

た真っ白な飼い猫がいた。真っ白でフワフワな“ルル”と言う名の

大きな雄猫だった。


 でも、僕がお寺に居た冬休みの一週間位は、彼にとっては最悪な

時間だったと思う。余りに僕がルルを追いかけ回して抱き上げて頬

にすりすりするものだから、嫌がって終いには僕がお寺に居る時期

には餌を食べる時以外はお寺に寄り付かない始末だった。


 それでも諦め切れずに「ルルゥ~!ルルゥ~!!」って大きな声

を出しながら、家の中や境内や裏の竹やぶをルルの姿を追い求め探

し回った。


 その内に、僕が冬休みに妙泉寺に来る頃には、暫く姿を消す様に

なってしまったみたいだ。猫の体内には、何か気配を察知するよう

な仕組みがあるのかな。「宏やっちゃんが来る頃になると、不思議

に家に寄り付かなくなっちゃうんだよね~。そんな事、何で分るの

だろうかね~?」と、まだ中学生か高校生くらいだった叔母もしき

りに不思議がった。


 妙泉寺には、書生さんやお弟子さんが常時数人住み込みで暮らし

ていた。大晦日になるとお弟子さんの中の一人が、自転車に乗って

甲府まで年越し蕎麦を買いに行った。


 今の人達なら、ちょっと考えられない事だった。当時の自転車は、

大きくて車体も相当に重かった。そんな自転車で、甲府まで往復した

なんて信じられない。特に帰り道は、切り溜(長方形の木の箱)に蕎

麦二十人前を入れて、それを荷台にロープでくくり付けて運んで帰って

来た。


 一升瓶に蕎麦汁を入れて、それも一緒に運んで来た。蕎麦はお店に

着いてから「何人前を下さい!」と言うと、その場で茹でてくれたそ

うだ。妙泉寺に戻って来る頃には、切り溜に入った蕎麦は全部凍って

いたそうだ。昔の山梨の冬が、どれほどに寒かった分るエピソードだ。


 僕の母親には、姉妹が三人いる。その中で母の直ぐ下の次女である

叔母ちゃんは、無類の蕎麦好き。彼女は運んで来たばかりの凍った蕎

麦を夜まで待切れず、皆に隠れて先に食べたそうだ。凍った蕎麦もお

汁につけると溶けて、それを皆に見つからない内に大急ぎで食べたそ

うだ。きっと、ばれて兄弟喧嘩も起きただろう。食い物の恨みは恐ろ

しいのだ。


 年越し蕎麦の具は、茹でこぼしたほうれん草に食べやすく小さく切

って甘辛く煮付けた鶏肉。そこに、ねぎを入れて食べた。僕のおぼろげ

な記憶の中で、その鶏肉や野菜の美味しかった事。味覚、、味の記憶。

妙泉寺の境内の端っこに作られた畑から野菜は取って来て、鶏肉は裏庭

の鳥小屋から一羽出して来て檀家の笠屋のおじさんが絞めてさばいてく

れたりした時代。流石に真冬だから、ほうれん草は何処かから買ってき

た物だったんだろう。


 今だったら有機栽培だ地鶏だなんて言われて、結構なお値段になりそ

うだな。でも、一番の御馳走は、皆の笑い声喋り声だった。大勢で食べ

る年越し蕎麦は、どんな物にも代え難い特別な味がした。









AVENUEロゴs10





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012年04月10日 19時38分00秒
コメント(2) | コメントを書く
[宣伝] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


ひろやす^^   H・ひろやす さん

カモメさん、
ありがとう! (2012年04月10日 23時15分33秒)

いやいや(*^。^*)ン   カモメ7440 さん
こちらこそ、こちらこそ^^ (2012年04月12日 02時09分10秒)

PR

カレンダー

サイド自由欄


  Art詩スライドショー

  作へ

  注目作へ
   紫苑1~水原紫苑の歌によせて
     新たなイラストの扉がいま開かれた!




    詩誌AVENUEの 掲示板

    詩誌AVENUEの 私書箱

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

日記/記事の投稿

カテゴリ

フリーページ

塚元寛一のお部屋★


創刊に向けて


コラボ詩の心得


顔文字詩


『ふろいど』のために


311


オリジナル意訳詩


TITANのお部屋★


『ふろいど』


動物さんたち 1


動物さんたち 2


作家の部屋★


poet 塚元寛一さん


poet 田中宏輔さん


poet 香鳴裕人さん


artist 羊谷知嘉さん


poet samleさん


reviewer 澤あづささん


poet NORANEKOさん


poet 天野行雄さん


poet 黒木アンさん


poet はかいしさん


poet 紅魚。さん


poet しぇりーいすちゃん


poet 泡沫恋歌さん


e-shi トラ太郎さん


e-shi 黒沙鐶ミイカさん


e-shi コマさん


artist ホングウ セラさん


reviewer 藤一紀さん


reviewer 水野英一さん


poet メビウスリング詩人会勉強会


poet 僻猫さん


artist 美々婆々さん


poet カニエ・ナハさん


ミュージシャンのお部屋★


hiroyuki


森 ミキ


編集室★


ブックマーク★


Home


room 1 企画


room 2


box 1 ✔


box 2 ✔


box 3 ✔


box 4 ✔


box 5


pro1 陽気なこまどり


pro2 coffee


pro3 花のやうに


pro4


pro5 


PBook 1


PBook 2


PBook 3


PBook 4


PBook 5 ✔✔


PBook 6


PBook 7


PBook 8


PBook 9


PBook 10


PBook 11


PBook 12


PBook 13 ✔


PBook 14


PBook 15


長編詩投稿サイト


日本人 カモメ7440


水深九十八メートルの夜



月舞の宴 (コメント付)


1~71行詩


今日の写真詩:詩文by塚元寛一


No.1


作品


十一次元の詩人たちへ


青いレモン


『青いレモン』の前駆詩


古井戸の底に浮かぶ


オリジナル意訳1    by塚元寛一


オリジナル意訳2


オリジナル意訳3


オリジナル意訳4


オ意ロートレアモン1


オ意ロートレアモン2


オ意ロートレアモン3


オ意ロートレアモン4


オ意ロートレアモン5


写真詩詩文控え1   by 塚元寛一


写真詩詩文控え2


写真詩詩文控え3


写真詩詩文控え4


写真詩詩文控え5


写真詩詩文控え6


ひろやすさん写真詩詩文控え1 by 塚元寛一


ひろやすさん詩文控2


ひろやすさん詩文控3


ひろやすさん詩文控4


ひろやすさん詩文控5


wa!ひろさん写真詩詩文控え1 by 塚元寛一


wa!ひろさん詩文控2


wa!ひろさん詩文控3


wa!ひろさん詩文控4


イラスト詩文控え1  by 塚元寛一


イラスト詩詩文控2


イラスト詩詩文控3



© Rakuten Group, Inc.