福島の原発事故がいっこうにおさまらない。放射能汚染が日々どんどん広がり続け、抜本的対策がまったく決まっていない状況で、おちおち音楽を聴く心境になれません。このブログ、「音楽日記帳」として音楽のことだけ書こうと思っていましたが、この状況で、方針変更しました。今もっとも関心があることについて、書くことにしました。
放射能のこと、原子力発電のこと、僕はまったく素人です。これまで、知識もなく、関心もほとんどなく、日々原子力のことを意識せずに生活してきました。おそらく大半の日本人がそうだろうと思います。
しかしそういう僕のような人間から見ても、今度の原発事故での、東電や政府の対応、テレビ報道に出てくる「専門家」の解説が、なんだかとても変です。「安全だ安全だ」と言っているうちに、事態がどんどん悪くなっているんですから。
特にわかりにくいのが外部被曝と内部被曝の違いです。外部被曝というのはなんとなくわかるんですが、内部被曝というのは、どのように、どのくらい危険なのか?テレビでいうように、現状ではあまり心配しなくて良いものなのか?
そのあたりが気になったので、ここのところ少し本を読んだり、ネットであちこちを見ているうちに、すごく良いサイトを見つけましたので、ご紹介したいと思います。
「内部被曝」について
です。いろいろな研究、書物を引用しながら、広島・長崎の原爆投下前後のアメリカの態度から始まって、綿密に、わかりやすく書かれています。全8章にわたる内容で、全部一度に読むのはしんどいと思います。ともかく第一章だけでも読んでいただきたく思います。
僕は第一章で、特に、乳がんの死亡率の上昇の事実に衝撃を受けました。詳しくは上のサイトの文章をじっくり読んでいただきたいですが、アメリカで、時代とともに乳がんの死亡率があがり、1950年から1989年までの40年間で2倍になった。それがアメリカ全体で一様に上昇しているのではなく、原子力発電所が近くにある地域(100マイル以内)で上昇して、遠い地域(100マイル以遠)では横這いだった、ということなんです。
別に事故があったわけでもない、普通の運転をしている原子力発電所が、「基準値」以下の低濃度の放射性物質しか排出していなくても、その近くに住む人は乳がんの死亡率が高い、ということです。これがつまり、基準値以下の微量の放射性物質による内部被曝の影響であろう、と指摘されています。
いうまでもなく、乳がんの死亡率には、発病率(食生活、喫煙、肥満、少子化などなど)や、早期発見率(検診など)など、いろいろな要因が複雑に絡みあうと思います。しかし、原子力発電所から近いか遠いかで一定の違いが出ているという事実には、驚きました。
この第一章を読んで興味が湧いたかたは、是非後続の章も読んでみてください。内部被曝の意味が、良くわかります。どのように、どのくらい、危ないのか。
○内部被曝には、これ以下なら絶対安全という閾値はない。
○内部被曝によって、(乳がんに限らず)発ガン性が増加する。しかしガンが現れるのは長い年月がたってからである。
○被曝した個人が、のちに発ガンしても、その人のガンの原因が被曝だったかどうかは、わからない。疫学的な(統計的な)数値の上昇としてわかるだけである。
という、漠然とはわかっているつもりだったことが、かなり良くわかりました。
いまさらわかっても、もう手遅れかもしれません。何もできないかもしれません。
でも、僕はわかって良かったと思います。わからなければ、何もできない。
わかれば、何かほんのちょっとしたことでも、何かできるかもしれない。