カテゴリ:マーラー演奏会(2017年)
上岡敏之さんと新日フィルによるマーラーを聴きました。心に残る演奏会となりました。
指揮:上岡敏之 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団 (コンマス:崔 文洙) マーラー 交響曲第6番 3月11日 すみだトリフォニーホール 今日3月11日土曜日と、明後日13日月曜日の二日、錦糸町のすみだトリフォニーホールに、マーラーが響きます。今日が上岡さんと新日フィルによる6番で、明後日月曜日がインバルとベルリン・コンツェルトハウス管による5番です。ふたつがペアになり、 すみだトリフォニーホール開館20周年記念 すみだ平和祈念コンサート2017 《すみだXベルリン》 と銘打たれています。この記念演奏会にマーラー6番を選んだ上岡さんは、「魂を慰めるのではなく、今を生き、明日への希望を見出す人へのメッセージにしたい」と語っておられるそうです。 今日のマーラーは、美しく、苦しく、胸をかきむしられるような、素晴らしい音楽でした。これぞマーラー! 演奏の詳しいことは、後日書こうと思います。今日どうしても書いておきたいことは、6番演奏終了後のことです。しばらく拍手が続いたあと、突然に、アンコールが演奏され始めたのです。6番のあとの異例のアンコールです。 曲は、マーラー5番のアダージェットでした。ある意味今日の6番は前座で、本日のメインは、このアンコールだったといったら言い過ぎでしょうか。今日この場だけの、異例で、特別で、必然のアンコール。 2011年3月11日、この同じホールで、新日フィルがハーディングとともに奏でた、あの5番から、もう6年が経ちました。5番は今もなお、団員の皆様にとって特別な曲であるということ、そのことがまざまざと伝わってくるアダージェットでした。その想いの強さというか切実さに、胸が押され、涙が止まらない状態で聴いていました。きっと聴衆の多くが、同じだったと思います。 震災の深い傷から、被災地は少しずつ復興しつつあるとは言え、依然大勢の方々が避難生活を送っています。特に福島からの避難者は多く、心ないいじめがあるという報道には胸がいたむし、次々に生活支援を打ち切っていく国には憤りを感ずるばかりです。いろいろなことを考えながら、やや重い気持で帰宅しました。 けれど、上岡さんと新日フィルの皆様の、「今を生き、明日への希望を見出す人へのメッセージにしたい」というあついお気持ちは、今日の聴衆の皆の心に、きっと響き、届いたと思います。 素晴らしい音楽と素晴らしいメッセージを、ありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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