久しぶりにコンサートの記事を書きます。
田原綾子ヴィオラリサイタル
ヴィオラ 田原綾子
ピアノ 須関裕子
11月2日 青山音楽記念館バロックザール
ブラームス F.A.E.ソナタからスケルツォ
シューベルト アルペジョーネソナタ
ヒンデミット ヴィオラソナタ 作品11-4
西村朗 無伴奏ヴィオラソナタ第2番 「C線のマントラ」
プロコフィエフ ロミオとジュリエットから、ジュリエットの死、少女ジュリエット(ヴィオラとピアノのための編曲版)
ブラームス ヴィオラソナタ第1番 作品120-1
アンコール 山田耕筰 赤とんぼ (編曲 森円花)
仕事で京都に来たので、何かコンサートないかなと検索したところ、ヴィオラリサイタルを発見。しかもヒンデミットや西村作品が聴けるという、かなり自分好みのうれしいプログラムでしたので、これ幸いと出かけました。会場の青山音楽記念館というところは初めて知りましたが、渋めのプログラムのリサイタルを頻繁に主催しています。たとえばこのヴィオラリサイタルの翌日にはスクリャービンとシマノフスキのピアノリサイタル、さらにその二日後にはバッハのゴールドベルク変奏曲のピアノリサイタルと言った具合。タイミングが合えばどれも皆聴きたかったです(^^;)。
阪急嵐山線沿線で、京都中心部からもアクセスの良い場所に、素敵なたたずまいの音楽館がありました。
バロックザールは座席数200のこじんまりとした、天井が高くて程よく響く、とてもいいホールでした。
田原綾子(たはら あやこ)さんは2013年東京音楽コンクール弦楽部門の優勝者ということです。桐朋学園大学在学中、それも1年生のときに優勝されています。現在はフランス留学中ということで、おそらくすでにいろいろな場数を踏んでいる方と思われますが、入退場の所作など、微笑ましいほど初々しかったです。しかしひとたび楽器を構え音楽モードに入ると雰囲気は一転、充実した音楽を聴かせてくれました。特にヒンデミットは、音楽の流れが自然で、抑制の効いた歌心の味わいあり、盛り上がるところのスケール感ありと素晴らしく、ピアノとのバランスもとても良く、堪能させていただきました。この曲は昔、カシュカシアンのCDで初めて聴き、虜になりました。最近若手ヴィオリストがこぞって取り上げるようになっていますが、タイミング的になかなか聴く機会がなかったので、今回良い演奏が聴けてうれしかったです。
後半の冒頭、現代音楽バリバリの無伴奏の西村作品も、ごくごく自然な歌が聴こえてきて、難解さを感じさせない、素敵な音楽でした。こういう曲を、このように普通に消化しているのは、若い世代がそういう親和性を持っているのかもしれないし、それに加えてこの方だからなお一層、なのかもしれない、と思いました。
アンコールには、「赤とんぼ」をヴィオラ&ピアノ用に、お友達という森円花(もり まどか)さんが田原さんのために編曲したヴァージョンが演奏されました。美しく懐かしい音楽で、温かく名残惜しく、締めくくられました。素敵なリサイタルをピンポイントで聴けた、ラッキーな一夜になりました。